台湾行政院環境保護署(以下、環保署と略称)は、2015年11月25日、改正された「水汚染防止法施行細則」(以下、「施行細則」と略称)を公布した。本改正は、2015年2月4日に改正・公布された「水汚染防止法*1」で強化された「リスク予防管理」や「刑事責任と罰則」および水汚染防止費の徴収開始の内容に基づき行われており、主な改正点は以下の通り。
- 実務の運営に合わせて、中央監督官庁による水汚染防止費の主管事項を調整。
- 水汚染法第36条の違反構成要件を明確に定め、各級の監督官庁による法執行時の根拠とした。
- 水汚染防止法違反による罰金のうち、水汚染防止基金に拠出する割合(20%)を定め、同基金の出所を明確にした。
水汚染防止法第18条第1項の迂回排出や混合・希釈禁止に関連する規定に合わせて、現行の「水汚染防止措置および検査測定申告管理弁法」における廃水(汚水)事前処理施設が具備すべき機能や設備に関する規定、正常な操作や迂回排出などの管理規定を本細則に移行した。
加えて、事業者が地下水系に流入、または土壌もしくは水系に排出する廃(汚)水に含まれる健康有害物質が水汚染法で定める放流水基準を超える場合について規定した水汚染防止法第36条に関しては、中華民国刑法や刑事訴訟法の規定を参考としながら、犯罪構成要件や違法形態を明確に規定した。これにより、今後、監督官庁による法執行時に大量の処罰案件が発生し、頻繁に訴訟をくり返すという事態を避けられる。
今回の細則改正によって、今後、事業者による故意の迂回排出など重大な違反が発見された場合、法による制裁を逃れるのは困難となり、環境保護関連の刑事案件に対する抑制効果も期待できる。
*1 EWBJ53号に関連記事有り「台湾、水汚染防止法を改正――違法排水に対する罰金を大幅に引き上げ、悪質あるいは重大な違反行為に対しては7500万円の罰金も」