2017年5月1日に現地で報じられたところによると、フィリピン最高裁判所は4月23日の週、環境天然資源省(DENR)などに対し、共和国法(RA)9275号「2004年水質浄化法(Clean Water Act of 2004)」の主要な条項に関する遵守状況の報告書や関係書類の提出を命じた。この判決は、同国で水道事業の運営を委託されているMaynilad Water Services社およびManila Water社の申し立てを受けたものである。
フィリピン最高裁はこの判決の中でDENRに対し、RA 9275に関わる産業分類リストの他、水質基準に関してDENRが負っている責務、および固形廃棄物の処分計画などを提出するよう命じた。DENRは、RA 9275の履行機関として、同法第14条の下で廃水の排出許認可を実施する義務、ならびに第19条の下で、国家水質状況報告書、統合的水質管理フレームワーク、10年間に水質管理地域行動計画を策定する義務を負っている。さらに最高裁は、保健省(DOH)、公共事業交通省(DPWH)、DPWH傘下のフィリピン国家下水管理プログラム局、内務自治省(DILG)、地方水道公社(LWUA)、ラグナ湖開発公社(LLDA)などの機関に対しても同様の命令をした。このうちDILGは、高度な都市化が進んだ都市(HUC:Highly Urbanized Cities)の完全なリストを、HUCの各政府は、RA9275の規定の遵守に関する報告書を裁判所に提出するよう求められた。また、ラグナ湖開発公社は、その管轄下にある企業リストを最高裁判所に提出することを求められた。申し立てを行ったMaynilad Water Services社およびManila Water社もまた、マニラ首都圏上下水道供給会社とのコンセッション契約に基づくサービス供給地域の最新リストの他、RA 9275の遵守に関する最新の報告書の提出を求められた。
なお、最高裁判所書記官Felipa Anama氏が署名した判決通知には、「この判決により指示を受けたすべての団体、全ての政府機関は、本判決により提出が求められた最後の主張を受け取ってから15日以内に、提出された主張のいずれかまたは全てに対し抗弁することができる」と記載されている。RA 9275は、陸上の汚染源(工業・商業施設、農業および地域社会、家庭活動)に由来する水質汚染を防止することを目的としており、汚染対策に向けて全ての利害関係者が関与する、マルチセクターかつ参加型のアプローチを通じた戦略を策定している。