エルサルバドルで野党が提出した水法案に対し、水の民営化につながると与党が反対

2017年7月14日エルサルバドルの国会に、右派野党4党が水総合管理特別法案を提出した。これに対し左派の与党は、法案は水の民営化につながるものと警告を出し、30の社会団体や住民団体、環境団体などが反対を表明している。

法案では、行政とは独立した水の管理機関となる水資源当局の創設が提案されている。この水資源当局は環境省管轄となり、任期7年の、大統領が任命する代表1名および、地方自治体代表2名、民間企業組合代表2名からなり、以下の権限を有するものとなる。

  • 第三者に提供する管理サービスや技術サービスの料金、水の使用料、汚水排出料の設定
  • 水資源の使用権の授与や中止、
  • 法違反への罰則適用
  • 国家水資源計画の策定と承認
  • 外国機関からの水プロジェクトのための融資手続き
  • 現在は政府が行っている水に関する緊急事態宣言の発令

また同法案では、水域への固形廃棄物や砂利、危険物質の廃棄などを含む違反事項への罰金は1500米ドルから30万米ドルが提案されている。

国会の環境・気候変動諮問委員会は、民間企業も参画する水資源当局の構成や、水へのアクセス権を人権のひとつと認める条項の不在、社会利害よりも経済利害を優先している点で、承認すべきではないという見解を出している。

一方野党側は、現在の水管理当局である国家上下水管理局ANDAは、水へのアクセスを全国に普及させる能力がなく、外国機関からの融資手続きを政治的な圧力に利用していると批判し、法案はその点を改善したものと表明している。また水の使用権授与にあたっては、現在ANDAの決定が最終となっているが、法案では水資源当局の決定に異議がある場合は裁判所に控訴できるようになっている点や、ANDAは消滅するのではなく水の供給サービスなどの機能は継続する点にも触れている。

なお環境省のデータによれば、エルサルバドルの首都のサンサルバドルの飲料水の70%は地下水からの供給で、過去10年間に一人当たりの使用可能な水資源量は、11,000m3から8,000m3に減少している。

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