米国GAO、上下水道分野の人材確保問題に関する調査報告書を発表

米政府説明責任局(GAO:Government Accountability Office)は2018年1月30日、上下水道分野の人材確保を取り巻く課題に関する調査報告書“Water and Wasterwater Workforce: Recruiting Approaches Helped Industry Hired Operators, but Additional EPA Guidance”[1]を発表した。同報告書では、全米11カ所に及ぶ上下水道事業者を抽出し、同分野における今後の人材ニーズを調査した結果、上下水道事業に従事する熟練した高齢労働者の大量退職に伴い新規労働者が補填されたとしても、連邦基準を満たせる十分なスキルや能力を有した人員が確保できるかは不透明であると結論付けた

全米にて上下水道事業を安全に運用するには、資格を保有した能力のある労働者の確保が必須である。今後数年先に熟練した高齢労働者が大量に退職するに伴い、それを補填する十分な人員確保が可能できるかが懸念されている。そのためGAOは今回、上下水道業界を対象としてスキルを有する人員確保の必要性を検証した調査報告書を発表した。同報告書では、他の分野と比較した上下水道分野における人員確保の必要性の度合いや、大量退職に伴い補填される新規人材が連邦基準の遵守へ与える潜在的影響などが分析された。

GAOは、労働省労働統計局(BLS:Department of Labor’s Bureau of Labor Statistics)のデータを用いて、上下水道事業の運用に必要となる人員確保の必要性を他の分野と比較分析した。その結果、上下水道事業に現在従事する労働者のうち、2016年から2026年の間に離職と入職が発生し人員が入れ替わる全体の割合(労働回転率)は年間8.2%に達すると、BLSは予測した。一方、全米における全労働者を対象とした労働回転率10.9%とほぼ同水準となることが明らかにされた。しかし、BLSが算出した予測値は、特定の該当年を対象とした正確な数値ではなく、むしろ長期的な傾向を把握するための概算値であるとされている。また、高齢世代の大量退職を補填するために新たな人員を確保できたとしても、上下水道事業の安全運用にはスキルや知識が必要となることから、飲料水安全法(Safe Drinking Water Act)や水質浄化法(Clean Water Act)などの連邦基準を遵守する上でどのような影響があるかはほとんど知られていないと、GAOは分析した。

米上下水道業界団体もEPAも、全米レベルにて必要となる人員確保と基準遵守との関係性を分析したことはない。さらに、GAOは同報告書にて、EPAが州政府向けに策定している上下水道分野における人員確保を提言したガイダンスの内容を変更すべきであると提案している。同ガイダンスは現在、上下水道事業の運用・保守に必要となる作業員の数とその質(能力・スキル)を検証することを州政府に対して助言しているものの、将来の人員確保に関しては触れられていない。そのためGAOは、目標達成に向けた新たな作業員の確保、開拓、保持を目的とした長期的且つ戦略的な人員計画を策定、検討し、将来必要となる人員の数などをEPAガイダンスへ盛り込むべきであると提言している。その結果、EPAはこれらの情報を州政府と共有することで、州政府や上下水道事業者は、将来発生しうる人材を巡る課題を適切に把握し、必要に応じて対策を講ずることができることを、GAOは強調した。

[1] https://www.gao.gov/assets/690/689621.pdf

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