中国上海市、全国初となる「生活飲用水質地方標準」を公布――世界の水質標準に合わせて、規制対象となる汚染物質の項目を追加

2018年6月23日、上海市質量技術監督局は全国初となる生活飲用水水質地方基準「上海市生活飲用水水質標準」(DB31/T1091-2018)を公布し、10月1日より施行される予定である。同標準は世界の水質標準に合わせて制定されたもので、水質指標5項目が新規に追加され、計111項目になる。うち40指標については大幅な引き上げが見られた。

上海市供水調度センターの朱慧峰主任によると、上海市はWHO「飲料水水質ガイドライン第4版」、USEPA(米国環境保護庁)「第一種飲料水基準」、EU指令及び日本の生活飲用水水質基準を参考にしたという。同氏によれば、上海市の原水に含まれる汚染物の種類が多く、汚染因子検出率が高いが、各指標の実濃度/制限値の把握が難しいため、上海市は新標準を制定する際にCOD、TOC、トリハロメタンなどの複合型指標の基準を引き上げることに注目した。

国家基準と比較すると、上海市の新飲用水水質標準は106項目から111項目(通常指標49項目、非通常指標62項目)に拡大した。通常指標について、国家基準の42項目の上に国家基準非通常指標6項目と国家基準付録A指標1項目が追加された。非通常指標について、国家基準64項目から上記の6項目が削減され、国家基準付録A指標3項目と新指標1項目が追加された。ほかに、水質参考指標3項目が新規追加された。

上海市―新規追加の通常指標(非通常指標6項目+附録A指標1項目)
指標名 規制値 指標源
アンチモン 0.005 国家基準非通常指標
亜硝酸性窒素 0.15 国家基準付録A指標
クロロジブロモメタン 0.1 国家基準非通常指標
ブロモジクロロメタン 0.06 国家基準非通常指標
ブロモホルム 0.1 国家基準非通常指標
トリハロメタン 同類化合物の実濃度/制限値の和が0.5以下 国家基準非通常指標
アンモニア窒素 0.5 国家基準非通常指標

なお、基準の引き上げについて、通常指標17項目、非通常指標23項目、合わせて40項目の引き上げが見られた。ただ、朱氏によれば、欧米および日本の実際の水質が水質基準より大幅に良いため、上海市の今回の標準改正は水質改善の第一歩を踏みだしたにすぎず、水準が一流になったとはまだ言えない状況である。新標準は10月1日より施行される予定である。

「上海市生活飲用水水質標準」の中国語の原文は、2018年8月23日現在、当局である上海市質量技術監督局のサイトでは公開されていない。この標準を含む5つの標準の公布に関する同局の通知は、以下のURLで閲覧できる。
http://www.shzj.gov.cn/art/2018/6/22/art_2828_3310.html

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