インドネシアで、2018年5月3日、チタラム川の汚染対策に向けた共同宣言が掲げられた。これは西ジャワの1200人以上の事業者によって署名されたもので、チタルム川流域の汚染行為への対策の支援に関する事業者および企業の共同実行宣言である。この宣言のなかで挙げられた、汚染対策に向けて再確認するべき4つのポイントは以下の通り。
- 環境許認可および関連する環境規則の遵守実行
- 良識的かつ正しい廃棄物管理の実施
- 企業の社員および経営層に対する廃棄物対策の周知および教育の実施
- 廃棄物対策、環境許認可における虚偽および怠慢があった場合の影響および制裁の整備
なお宣言式では、西ジャワ州知事Ahmad Heryawan氏、情報担当次席検事Jan Samuel Maringka氏、技術研究・高等教育相Muhammad Nasir氏、およびLuhut Pandjaitan大臣も参加し、チタルム流域の汚染および破壊対策の促進を促すため、事業者/企業の接見およびレセプションが行われた。
この共同宣言の実施を主導するのが海事調整省のLuhut Pandjaitan大臣である。チタラム川の汚染は複雑で広範囲におよび、より総合的な政府による対策の必要性が訴えられている。これに対し、ジョコ・ウィドド大統領は、大統領令2018年15号を通じてLuhut Pandjaitan大臣をチタルム川の水質回復のための対策調整を行う指揮チームリーダーに任命した。現場の特殊部隊司令は西ジャワ州知事が執り、インドネシア国軍師団長が生態系対策における司令代理となって支援し、西ジャワ警察本部長が法的予防および処置における司令代理となった。
現在チタラム川は、家庭ゴミ、畜産廃棄物、他の工場廃棄物の廃棄場所となっている。その結果、今日のチタラム川の状況はますます悪化し、汚染が進行している。また、川の上流ではワヤン山斜面の森が畑に転用され、土壌の流出も問題となっている。
市民の法的意識
チタルム川流域の浄化活動の根幹となるのが、法的対策および処置である。市民への教育、工場の社員から管理者に至るまでの各関係者への教育による汚染予防、ならびに汚染者に対する行政的制裁および処罰による取り締まりが重要となる。合計55件の企業廃棄物が追跡調査され、そのうち31件がチタルム特別部隊から移譲され、24件が監視チームから渡された。この55件のうち、少なくとも32件はすでに捜査中であり、7件は当局による取り調べが行われている。すでに実施された法的処分の一部は、市民の法意識を養うため、政府が戦略的におこなったものである。
最高検察庁情報次席検事Jan Samuel Maringka氏はレセプションにて、環境犯罪に関する警告を行い、市民に対してより法的意識を高めるよう呼びかけた。「我々には法的措置における戦略が必要だったが、我々が行ったことはどれだけ『大きな魚』を捕らえることができるかということであり、それにより他の企業および違反者が、許認可剥奪や事業停止などの犯罪に対する制裁およびその他制裁を目の当たりにすることになった。また、環境犯罪に関して、検察は補償金の支払いを求めることもできる。今回の会合を機に、法的制裁の存在および法的処置に関して環境林業省、警察、検察庁との協力の必要性について、我々は同じ認識を持った。チタルム川をもう一度きれいにするため、チタルム川の名声を取り戻すため、協力していこう」
この宣言が署名されたことで、チタルム川の名声を取り戻すための協力活動は次の段階に入った。Luhut Pandjaitan大臣は、チタルム問題の協同解決のため、すべての市民に呼びかけた。「この問題の解決のため、一致団結し互いに協力しよう。私は保証する。最も重要なことは、もし違反があり、処置が行われなければ、我々が行動することだ。私はこれを保証する」
Luhut Pandjaitan大臣は、複数の企業に対して排水処理装置システム改善のため3ヶ月の期間が与えられたことを強調し、「排水処理装置設置のために3ヶ月を与えた。小規模企業から大企業まですべての企業が排水処理装置の設置が必須だ。注意喚起のため、我々は地方政府および州警察、さらに軍管区司令部、検察庁も巻き込み、皆を大統領令に従わせていく。あれこれ言わず、協力しよう」と大臣は最後にまとめた。
なお、「チタラム川流域の汚染および被害の抑制に関する大統領令2018年15号」は以下よりダウンロード可能。
http://www.bpn.go.id/DesktopModules/EasyDNNNews/DocumentDownload.ashx?portalid=0&moduleid=1667&articleid=10911&documentid=3562