イランとドイツの両政府は2018年5月中旬、国際水域の統括や排水管理プロジェクトの実施など、水関連分野における二国間協力を促すロードマップの策定を協議したことを明らかにした。イランは、隣接するイラクやアフガニスタンと国際水域(国際河川)を有しており、気候変動や降水量の低下の影響を受けて、これらの水域の利用を巡り領土権の主張争いが激化している。イラン・エネルギー省 Reza Ardakanian大臣は今回ドイツを訪問、政府高官と面会し、国際水域の利用を巡る水資源の管理に関するノウハウの共有などの二国間協力を促すことを検討した。
イラン・エネルギー省Ardakanian大臣は2018年5月中旬、ドイツ経済エネルギー省Peter Altmaier大臣による招待を受けてドイツを訪問したことが明らかにされた。Ardakanian大臣はまた、ドイツ環境・自然保護・原子力安全省のSvenja Schulze大臣とも面会した。Ardakanian大臣は会合にて、水不足は地域協力及び国際協力が必要となる世界的な課題であるとの認識を示した。同大臣はまた、イランはイラクやアフガニスタンといった隣国と国際水域(国際河川)を擁していることを取り上げ、イランとアフガニスタンとにそれぞれ接するアルヴァンド川やヘルマンド川などの水資源を管理する上で、ドイツが有する過去の実績をイラン側へ共有することを要請した。
アルヴァンド川、別名シャットゥルアラブ川は、イラク南部のバスラ行政区に位置するal-Qurnah町でユーフラテス川とチグリス川が合流する、全長200kmの河川である。同河川の南端部分はイランとイラクの国境を流れ、ペルシャ湾へ注いでいる。一方、ヘルマンド川は、アフガニスタンのヒンドゥークシ山脈に源を発しDashti Margo砂漠を通り、南西部のイランとの国境付近に位置するシスタン盆地のハマウン湖へ流入する、全長1150kmに上るアフガニスタン最長の河川である。ヘルマンド川は、無機塩類が蓄積し灌漑への利用が低下しているものの、農業灌漑として主に活用されており、アフガニスタンの農業従事者にとり必要不可欠な水資源である。さらに同河川は、下流のイラン南東部のシスタン県やバルチェスタン県での農業灌漑用の水資源としても位置づけられている。
またイラン・エネルギー省Ardakanian大臣は、今回のドイツ訪問に合わせて、2018年5月14日から18日にミュンヘンにて開催されたIFAT 2018へも出席した。IFATは、上下水・廃棄物・原材料を管理するイノベーションやサービスを含む世界の最新環境技術を紹介する展示会である。前回2016年に開催されたIFATには世界各国59か国から3097名の出展者が参加し、170か国から13万8000名に上る参加者が訪れた。同会議は業界が一同に会する場として1966年に設立され、それ以降隔年で実施されている。