欧州議会が飲料水指令改正案の修正案可決、EU理事会の意見集約待って妥協交渉へ

欧州議会は欧州委員会が2018年2月に提出した「人が消費する水の質に関するEU指令案(COM(2017) 753)」について、議会の環境委員会(ENVI)が9月にまとめた修正案を賛成300、反対98、棄権274票で10月23日に可決した(下記URLで暫定版が閲覧可能)。今後、この法案についてEU理事会が加盟諸国の意見を集約して修正案をまとめたら、欧州議会の代表とEU理事会の代表が欧州委員会を交えて3者協議を開き、意見の擦り合わせを図る。その結果、妥協案がまとまり、欧州議会とEU理事会で正式に採択されれば、法案は成立する。
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?pubRef=-//EP//NONSGML+TA+P8-TA-2018-0397+0+DOC+PDF+V0//EN

法案は、現行の飲料水指令(98/83/EC)を改正・代替するもので、ボトル入りの水と比べて大幅に安価で環境に優しい水道水への消費者の信頼を高め、同時にボトルの消費を減らしてプラスチック廃棄物や二酸化炭素の排出削減につなげる狙いがある(下記URLで審議の経過と主要関連文書が閲覧可能)。
https://eur-lex.europa.eu/procedure/EN/2017_332

欧州議会のプレスリリースなどによると骨子は次のとおり(下線部は欧州委員会の原案と特に異なる部分)。

  • 飲料水中の特定汚染物質(有害なバクテリアなど)の許容上限値を厳格化する(例えば鉛は半減させる)。また特定の内分泌かく乱物質については新たに上限を設ける。新興懸念物質のマイクロプラスチックについてはモニタリングを行う。欧州委員会は本法の発効から1年以内に委任立法で監視リスト記載のマイクロプラスチック類を測定する方法を定める
  • 加盟国は、人が消費する水に接する製品・物質・素材が最低限の衛生要件を満たすよう必要な措置を講じる。欧州委員会は本法の発効から3年以内に委任立法で、そうした素材の生産に使われ、EUで承認されている物質の最低限の衛生要件とリストを定める
  • 加盟国は、清潔な水への普遍的アクセスを域内で提供するための措置を講じ、水飲み場を技術的に実行可能で相応しい範囲で設置することで市街地や公共の場所での水へのアクセスを改善する。また、レストランや食堂、ケータリングで無料もしくは低料金で水道水を提供することを奨励する。
  • 加盟国は、社会の脆弱層のニーズを重視し、水へのアクセスが皆無または限定的な人々(社会から取り残された層など)を特定して改善方法を評価する。また、水供給網への接続方法や他の代替的なアクセス手段について明確に情報提供をする。

この法案を欧州議会で担当するDantin議員(フランス選出、欧州人民党グループ)は「我々の水の使い方が人類の未来を決める。誰もが清潔で良質な水へのアクセスを有するべきで、それを全員にとって手頃な価格にするよう最善を尽くすべき」とした。

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