米EPAと陸軍工兵司令部、「合衆国の水域」を新たに定義しなおす規則案を公表

米環境保護庁(EPA)と陸軍工兵司令部は2018年12月11日、水質浄化法(CWA)の規制対象である「合衆国の水域」を新たに定義しなおす規則案を公表した。この規則案については、官報掲載後60日間の意見募集がおこなわれる。

経緯

CWAでは、この法律の規制がおよぶ範囲を「可航水域」ということばであらわしている。これは、CWAがもともと、河川港湾法などの航路関係の法律を補完するものとして制定されたことに由来する。しかし、実際にはCWAは航行可能な水域、すなわち可航水域ばかりでなく、上流河川、湖沼、湿地帯なども規制対象に含めるものとして運用されており、CWAの条文にもそれらへの言及がある。そこで、オバマ政権時代の2015年、CWAの規制対象となる水域を「合衆国の水域」として定義しなおす規則が制定された。

だが、この規則には、定義があいまいで結果的にCWAの規制対象範囲を不当に広げるものだとの批判が制定当初からあった。トランプ政権に代わった直後の2017年2月、同政権は「『合衆国の水域』規則の見直しによる法の支配、連邦主義、および経済成長の回復」と題する大統領令を発した。この大統領令は、可航水域を汚染から守ると同時に経済を成長させ、規制の不確実性を最小化し、憲法のもとでの議会と州の役割にじゅうぶんな敬意を払うことが国民の利益にかなうとしており、今回の新たな定義の規則案はこの大統領令の趣旨に沿ったものである。

2段階のプロセス

EPAと陸軍工兵司令部は、この「合衆国の水域」の定義の見直しを2段階のプロセスでおこなおうとしている。第1のステップは2015年に制定された「合衆国の水域」定義規則の廃止で、この廃止のための規則案はすでに2017年7月に公表され、それについての意見募集も終了している。

第2のステップは新たな定義の制定で、今回の規則案の公表と意見募集はこの第2ステップとしておこなわれているものである。

なお、この規則案の官報掲載前のテキストは以下のURLで読むことができる。
https://www.epa.gov/sites/production/files/2018-12/documents/wotus_2040-af75_nprm_frn_2018-12-11_prepublication2_1.pdf

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