米ニューヨーク州飲料水質審議会は2018年12月18日、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)に全米で最も厳しい最大許容濃度(MCL)を定めること、また、1,4-ジオキサンに全米初のMCLを定めることを同州保健局に勧告した。水質審議会が勧告した各物質のMCLの値は、PFOAとPFOSが10 ppt(1 pptは1兆分の1)、1,4-ジオキサンが1 ppb(10億分の1)となっている。これら3物質はいずれも全米各地の水道水中で検出されているが、連邦の安全飲料水法(SDWA)のもとで規制値を設定することになっている環境保護庁(EPA)は、まだこれら3物質の水道水中濃度を規制していない。
3物質のうち、PFOAはノンスティック・コーティング、防汚コーティング、および撥水加工に使われた化学物質で、PFOSは泡消火剤に使われてきた。また、1,4-ジオキサンは溶剤の安定剤、塗膜剥離剤、グリース、およびワックスとして使われてきた。
今後の見通し
州飲料水質審議会の勧告をうけて、州保健局はその採否について検討する。保健局長には、勧告された3物質のMCLを採用するか、あるいはそれに代わるMCLを提案するかのいずれかを選ぶ権限がある。いずれにしても、保健局はそれらMCLを定める規則案を官報で公示し、その後、60日間の意見募集がおこなわれる。規則案は、寄せられた意見を踏まえて必要があれば手直しされ、公衆衛生・衛生計画審議会の審議と保健局長の決裁を経て正式に州の規則となり、官報で公布される。この規則は公布と同時に発効する見込みである。
規則が発効すると、州内のすべての公共水道事業者は、規模の大小を問わず、一定期間内に3物資について水質検査を実施し、定められたMCLを守らなければならないことになる。
なお、この件に関するニューヨーク州保健局の報道発表は以下のURLで読むことができる。
https://www.health.ny.gov/press/releases/2018/2018-12-18_drinking_water_quality_council_recommendations.htm