JD Power、老朽化したインフラ対策への取組みが水道事業者の顧客満足度の改善につながると発表

米民間調査会社JD Powerは2019年5月8日、水道事業者による家庭用顧客満足度調査2019年度版(2019 Water Utility Residential Customer Satisfaction Study)を発表した。その結果、顧客満足度が高い水道事業者は、顧客とのコミュニケーションが積極的であるほか、水道供給サービスの停止や水質に関する問題が少ない傾向にあることを明らかにした。

米環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)によると、米国では水道管や浄水・貯水施設の老朽化を受けて、水道インフラの更新や取替に必要となる投資額は、今後20年間に4,730億ドル(約50兆9,520億ドル円)に達するという。今回の顧客満足度調査では、老朽化したインフラの更新や既存インフラの保守等に水道事業者が積極的に取り組むことで、顧客満足度が改善されることが明らかとなった。

JD Powerが今回発表した顧客満足度調査2019年度版の主な調査結果は以下のとおりである。

  • 前回調査時と比べて水質に関する課題が低下:水道水の水質に問題があると回答した家庭用顧客は、2016年調査時では全体の34%であったものの、2019年調査時には29%へ低下した。水道水の水質に関する課題のなかで最も顕著な問題は、水圧の低さ(12%)、水道水の味のまずさ(10%)が挙げられる。
  • 水質とサービス停止が顧客満足度を低下させる最大の要因:顧客満足度を著しく低下させる最大の要因は、水質と水道供給サービスの停止である。水圧の低さや水道水の味のまずさといった水質に関する課題は、顧客満足度指数(スコア)を104ポイント減少させた(最大1,000ポイント)。一方、水道供給サービスの停止は、顧客満足度指数を50ポイント下げる要因となった。
  • 水道インフラへの投資の必要性を理解する顧客が増加:水道インフラへの投資の必要性を理解する顧客が増えたことが、顧客満足度の低下につながっている。老朽化した水インフラの更新や取換に対する水道事業者の取組みを顧客が把握している場合、そうでない顧客と比べて顧客満足度指数は平均48ポイント高い。更に、水道事業者による既存インフラの保守に対する取り組みを顧客が評価している場合は、同事業者によるインフラ投資を把握していない顧客と比べて、顧客満足度指数が平均248ポイント高かった。
  • 積極的な顧客とのコミュニケーションは顧客満足度の増加に役立つものの、実際の利用は限定的:電話、eメール、テキストメッセージ、ソーシャルメディアを介したメッセージ配信など、水道事業者が積極的にコミュニケーションを図った場合、実施しなかった場合と比べて、顧客満足度指標が全体で84ポイント高かった。このような積極的なコミュニケーションは顧客満足度を大幅に改善する効果があるものの、水道事業者から配信されるメッセージを受信したことに気づく顧客はわずか28%に留まる。

JD Powerは、少なくとも家庭用顧客を40万世帯抱える米水道事業者89社を対象として、顧客満足度調査を実施しており、今回で4回目となる。同調査では、水道水の供給、水道料金、水保全、請求書と支払い、コミュニケーション、顧客サービスといった6つの領域に上る合計33件の指標が検証されている。

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