Texas Alliance of Energy Producers、持続可能な生産水の利用促進に向けた報告書を公開

テキサス州石油・ガス採掘業界団体であるTexas Alliance of Energy Producersは2019年9月16日、テキサス州における石油・ガス採掘量の拡大に伴い増加する生産水の管理体制を提言した報告書「テキサス州石油・ガス業界における持続可能な生産水に関する政策、規制枠組み、及び管理の現状と今後の動向(Sustainable Produced Water Policy, Regulatory Framework, and Management in the Texas Oil and Gas Industry: 2019 and Beyond)」を公開した。

米国では近年石油・ガスの採掘量の拡大に伴い、エネルギー自立が達成されつつある。特にテキサス州は、米国の中で原油や天然ガスの生産量が多く、エネルギー生産において存在感を放っている。一方、これらの地下資源の採掘には大量の水を必要とするほか大量の廃水が発生するなど、エネルギーと水とは深く結びついている。そのため、持続可能な手法で水を適切且つ継続的に使用することが、テキサス州の石油・ガス業界にとって重要である。今回発行された報告書は、水利用の現状や分析、今後の方針などが盛り込まれており、法案策定者や意思決定者等による活用を狙いとしている。特にテキサス州における生産水管理の現状と傾向、廃水の回収再利用、規制や政策の枠組み、生産水管理の改善を阻害する要因の分析を焦点としている。

テキサス州では、陸上での非従来型石油・ガスの採掘活動に伴い大量に発生する廃水の管理は実施されているが、水不足の地域ではフラッキングに使用される大量の水の供給が課題である。坑井数の増大等に伴いフラッキングに必要となる水需要が今後も増加することが見込まれている。このように大量の水が使用されているものの、同州における年間水消費量のうち、石油・ガス/鉱業セクタにて使用される水の割合は全体の1%未満に留まっている。しかし、同セクタにおける今後の廃水量の増加が懸念されている。2017年時点にて1年間に発生した廃水量は州全体で合計85億バレルを超える水準にあるものの(B3社の統計)、2023年には150億バレルへ拡大することが予想されている(Sourcewater社の分析)。

一方、テキサス州では従来型石油・ガス採掘時に発生する廃水を地下へ再注入し石油増産を図る手法が、廃水管理の1つの選択肢として実践されてきた。しかし、同州にて現在実施されているシェール層を対象とした非従来型石油・ガスの採掘時に使用される水平掘削法やフラッキングでは、従来の廃水管理手法の導入は適していない。そのため、非従来型石油・ガス採掘事業が活発化するにつれて、フラッキングの使用に伴い発生する廃水を処理し、回収再利用する必要性が高まりつつある。採掘事業者はフラッキング使用時に適した廃水管理戦略を実践することが奨励されており、自前で廃水管理を行うほか、廃水管理を水管理ベンダへ外注することもできる。

フラッキングに伴い発生する廃水を管理する手法(戦略)は、処理レベルの改善に伴い、過去5年間で劇的に進歩した。廃水を処理、回収再利用することで、フラッキングに必要となる水の需要量を相殺することができる。また、廃水処理コストが下落し、真水の購買コストが上昇するにつれて、処理後の廃水(生産水)を再利用することで運用コストを削減することが可能となる。仮に真水の購入コストと廃水の処理・再利用コストが同水準であったとしても、再生水を利用することで真水のトラック輸送コストを低減できるほか、環境負荷やインフラへの影響を抑制することも可能となる。テキサス州における生産水の利用実態を示す確固たるデータは現時点で存在しないものの、関係者へのインタビューによると、フラッキングにて発生する廃水のうち80%以上を生産水として再利用している採掘事業者もいれば、廃水を100%再利用する業者も存在するという。一方、同州にて生産水を回収再利用している事業者はごく一部に留まるとの情報もある。

同報告書は最後に、生産水の持続可能な利用に向けて様々な提言を行っている。これらの提言内容には、テキサス州における生産水の取扱いを改善するとともに、将来的に石油・ガス採掘以外の用途で安全且つ経済的な手法で生産水を利用促進する州政府の政策や規制枠組みを変更すること等が盛り込まれている。

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