チリの銅鉱山開発公社Codelcoは2019年12月20日同公社のサイトで、2019年11月に丸紅・Transelec・Techint社のコンソーシアムに落札が決まっていた淡水化プラント建設の入札をキャンセルしたと発表した。Codelcoは、落札から契約締結までのプロセスで、プロジェクトはまだ改善の余地があることが判明したため、今回の入札はキャンセルし、24ヵ月以内に新たに入札を開始することにしたと説明している。
プロジェクト改善点としては、中長期的に北部地方の鉱山開発の持続性にとって重要な要素となる淡水化プラントによる淡水を、貯水場所の鉱山だけでなくカラマ州の全ての鉱山で使用するべくプロジェクトを見直し、Codelcoが進めている入札プロセスの透明性の要件に沿って、契約条件を修正することが挙げられている。
入札延期により淡水化プラントの立ち上げが遅れることで、予定されている生産量を確保する為の鉱山開発での地表水の使用を続けることに関してCodelcoは、住民に影響を与えないように開発プロセスの効率性を高め、地表水の使用量を増やさない持続可能なソリューションを適用するよう努めると約束している。
コンソーシアムが落札していたプロジェクトは、投資額約10億米ドルで、初期能力840リットル/秒、最終能力1956リットル/秒のプラントが2022年にはフル稼働し、水消費コストを35%削減する、チリでエスコンディータ鉱山の34憶米ドル投資の淡水化プラントに次ぐ2番目に大きな淡水化プラントとなる予定のものであった。
なおCodelcoは世界の銅の埋蔵量の10%を所有し、世界の銅生産の11%に相当する180万トンを生産する公社となっているが、銅価格の下落とコスト高で収益が落ちており、2019年の銅の生産量も、アタカマ地方での異常洪水や精錬所のメンテナンス、労働者の2週間にわたるストライキなどで、170万トンの維持が困難な状態となっていた。