英国の資源大手アングロ・アメリカン社は2019年12月9日同社のWebサイトで、チリの首都サンチャゴ近郊の農村部の飲料水供給網の新システム開発と設置により、5500万人の住民の水資源確保に貢献していると発表した。
システムは、同社が地元住民や公共事業省、WeTecs社と合同で開発したもので、今後全国レベルで普及出来る可能性を秘めている。最新技術を駆使したシステムは、遠隔操作が可能なソフトウェアにより、水道網の診断、自動化、オンラインモニタリング機能を備えたもので、省エネにつながり、水道管破損を減らして飲料水の供給量を増やすのに貢献する。
システムでは、飲料水の生産や消費を把握する為にそれらの履歴を記録し、農村飲料水組合の運営者に新しい知識を提供して水資源管理における改善を特定する機会を与え、現場での技術サポートも提供されている。現在までに23ヵ所に設置され、平均25%の省エネと、40%の水道管破損減少、飲料水供給量の30%増量を達成している。
チャカブコ県の農村部飲料水組合長は、農村部の各家庭に24時間飲料水が供給されるようになり、生活が変わったと述べている。またアングロ・アメリカン社の副社長は、チリが直面している干ばつや気候変動に対し、新しい技術やイノベーションにより、企業の活動には人の飲料には適さない水資源を利用するという水資源管理戦略をたてていると述べている。一方公共事業大臣は、水不足問題は深刻であり、このような官民提携によるイニシアチブは他の企業も進めて欲しいと、また鉱山開発大臣は、アングロ・アメリカン社のイニシアチブは評価しており、鉱山開発企業は地元住民と対話をするだけでなく、新しい技術開発に住民を参加させて欲しいと述べている。
なおアングロ・アメリカン社は、同社の鉱山開発活動には淡水を使用せず、汚水の再生水を使用すると発表している。