中国・環境保護部、都市下水処理場排出基準を2015年に公布予定 – 高度水処理市場の拡大が見込まれる

いま中国では「都市部下水処理場汚染物排出基準(GB18918-2002)」の改正が進められており、2015年の公布を予定しているという。これは、中国・環境保護部・科学技術標準司司長の熊 躍輝氏が語ったもので、熊氏によると科学的基準は汚水処理の取り組みにおける重要な土台であり、環境保護部は同排出基準の体系的な改正を進めている。この基準は多くの関係者に影響を与えるため、改正の難易度が高く、2015年を目処に公布される予定となっている。

いまの国内状況に対応できない現行基準

現行の下水処理場排出基準は2002年に制定されたもので、業界関係者からは、経済発展の加速および環境保全に対する要求の厳格化により、一部の基準はすでに現在の水汚染対策に応えられない状況となっている。このため、排出基準の改正が急務となっている。

同基準改正のための専門家検討会に参加した中国人民大学・環境学院副院長の王洪臣氏は、「我々からは、排出基準の改善および改正作業のスピードアップを提言した」と語ったうえ、同基準策定は業界発展にとって重要な要素であり、具体的な技術ガイドラインの作成および投資額の確定にとっての基本的な指標でもある。「都市部下水処理場汚染物排出基準」は、工業排水および都市部生活排水のふたつの分野にかかわるもので、排出制限値の確定や汚染物質の監視など、簡単ではない。水環境全体の状況に基づき、科学合理的な設定が必要であると王洪臣氏は指摘する。

2010年10月、環境保護部は同基準の改正に対する意見募集をおこない、専門家による検討を実施した。現行基準の問題点、排出制限値の確定、処理効果の管理などの課題が重点的に注目された。工業団地排水における各排出関連基準も「都市部下水処理場汚染物排出基準」に反映される可能性があるという。

排水基準の強化によって拡大する水処理市場

排水基準が一旦強化されれば、高度水処理が再び有望市場となる可能性がある。有機汚染物質、無機汚染物質、および、各種の新規汚染物質を、いままで以上に厳格に処理する必要性が生じるため、膜分離活性汚泥(MBR)装置をはじめとした応用処理工程へのニーズが更に拡大するものと見込まれる。

中国証券大手の申銀万国社の予測としては、2014~2018年にかけて都市部下水処理施設の「提標改造」(排水基準の強化、および、それに対応するための更新事業)の規模は、1400万m³/日に達し、投資規模は100億人民元(約1770億円)を超えるものと期待されている。

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