Suez Environnement、リール都市共同体への飲用水供給事業の失注の危機

仏Suez Environnement社がフランス国内での大口契約の更新に失敗する可能性がある。同社は30年にわたり、子会社であるEaux du Nordを介して、ノール県内の84のコミューンで構成されるリール都市共同体(LMCU)に飲用水を供給してきたが、現在の契約期限は2015年2月で失効する。そこで新規契約の入札が実施されたが、同社が提出した提案書の17箇所がLMCUの仕様書に適合しておらず、そのために同社は10月3日現在、入札手続きから事実上排除された状態である。LMCUとの間で交渉されていた契約額は8年間で5億ユーロというものであった。Suez Environnement社のジャン=ルイ・ショサード最高経営責任者(CEO)は、同社の排除というLMCUの決定を不服とし、自社の利益を守るために最善を尽くす意向を示している。

一方、Suez Environnement社の競合相手であるVeolia社は候補に留まっている。LMCUへの飲用水供給事業は、首都圏イル=ド=フランス、マルセイユ都市共同体に次いで仏国内の飲用水供給事業としては第3位の規模であるが、首都圏とマルセイユ都市共同体の利権は既にVeolia社が掌中に収めている。

リールのマルティーヌ・オブリー市長は仏ル・モンド紙のインタビューに答えて、Suez Environnement社が候補を外されたことを知ったのは外遊先の中国から帰国した9月29日であったことを明らかにした上で、「(LMCUが下した)決定に対して法的な観点から私が疑義を差し挟む理由はないが、ただ、候補が1社だけの状態で入札を継続することは難しいように思える」とコメントした。オブリー市長は、Suez Environnement社の筆頭株主であるGDF Suez社のジェラール・メストラレに近しい人物とされているが、市長自身はSuez Environnement社とVeolia社のどちらを支持しているわけでもないと明言している。また、閣僚経験もあるオブリー市長であるが、もはやLMCUに対して影響力を行使できる立場にはない。同市長の所属政党である社会党は今春、LMCUの意思決定機関における与党の地位を失い、現在のLMCUの代表は人口900人の小村の長(無所属)が務めている。

しかし一部の識者は、まだVeolia社の受注が確定したわけではないと指摘している。その理由は、Suez Environnement社が行政裁判所や不正競争防止当局に提訴することが予想されるからであり、また、LMCUが両社とも振り落とし、飲用水を供給する公共事業体を独自に設立する可能性があるからである。

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