チリのAurora Williams鉱業大臣は2015年3月1日、トロントでひらかれたカナダ探鉱・開発協会(PDAC)の年次総会において、チリ政府が鉱山業者に対し、鉱山操業への脱塩水の使用を義務化する*1考えがないことを明確にして、不安を取り除く努力をしていると述べた。これは、途上国の市場でますます需要が伸びつつある鉱業界にとって、朗報といえるかもしれない。
この数十年間に、チリは途上国のなかでも最も鉱山操業がしやすい国という評判を築き上げてきた。しかし、近年、チリは途上国のなかでは依然としてひとつの標準モデルではあるものの、かつてほどは鉱山操業がしやすい国ではなくなったという声が、鉱山業者や、鉱業分野に詳しい銀行家のあいだから聞かれるようになってきた。
一部では脱塩水利用も必要
鉱山操業に使う水についてWilliams鉱業大臣は、海水を淡水化した脱塩水の利用が要求されるケースがこれまでにいくつかあったが、政府としてはそれを強制する計画はないとして、「脱塩水使用の義務化は現在、政府の検討対象にはなっていない」と述べた。
しかし、チリがきわめて長い海岸線をもつ細長い国であるという地理的条件を考えると、鉱山業者によっては脱塩水の利用を余儀なくされるケースがあるかもしれない。「これは、(政府ではなく)自然が要求していることだ」とWilliams鉱業大臣は語った。
*1 EWBJ53号に関連記事有り「チリ下院、鉱石採掘に脱塩水の使用を義務づける法案を審議中」