2015年5月6日チリ下院に、鉱物資源開発での水の使用を規制する鉱物資源開発法改正案が提出された。
チリの銅資源局(COCHILCO)が2014年12月に発表した、2014-2025年の銅資源開発における水の使用見込みに関する報告書によると、銅資源開発における淡水化プラントによる海水の使用率は、2015年は全体の9%の14.7m3/秒で、2025年には36%の24.6m3/秒に達する見込みとなっている*1。しかし、2025年までに海水を使用する見込みのプロジェクトの半分以上は、海水使用が100%確実ではなく、36%の海水使用率は不確かなものとなっている。またこの数字は銅資源開発のもののみであるが、他の鉱物資源開発で使用される水消費量を勘案すると、今後ますます水の使用量が増え、住民の生活水としての使用が圧迫される可能性がある。
このため法案では、住民の生活水の確保の重要性を踏まえ、チリ銅公社のCodelcoや政府機関が率先して海水の使用を推進する為、鉱物資源開発法を以下のように改正することが提案されている。
- 第110条で、鉱物資源の開発権益に含まれる水の使用権は、鉱物資源開発活動にのみ適用出来るものとし、権益が終了した場合は水の使用権も終了することが規定されているが、これに、付近の住民の水の使用に影響を与えない限りにおいて水を使用出来る点を付け加える。
- 第111条で、鉱山開発での水の使用は、水資源法に従うことが規定されているが、これに、環境ライセンス手続きを必要とする大規模資源開発プロジェクトにおいては、海水を何らかの形で使用しなければならないことを加える。
- 移項条項として、鉱物資源開発を初めとする工業活動における海水の利用を奨励し、便宜を図ることを政府の義務とし、2025年には民間企業の鉱物資源開発の水使用の最低35%、国営企業では40%を、海水使用とする措置をとることを規定。
法案は、以下のサイトでダウンロード可能(西語表記)。
http://www.senado.cl/appsenado/index.php?mo=tramitacion&ac=getDocto&iddocto=10460&tipodoc=mensaje_mocion
*1 EWBJ53号に関連記事有り「チリ銅資源局、銅鉱山の2014-2025年の水消費量見込みに関する報告書を発表――2025年までに海水利用率が36%となる見込み」