英国で、水関連の公共部門と民間部門が初めて提携しUKウォーター・パートナーシップ(UKWP)*1が発足してから、2015年8月末で半年がたった。UKWPによると、官民連携(PPP)方式で運営されるUKWPは5000億ポンド(約95兆円)と見込まれるグローバルな水市場の扉を開く鍵であるとともに、水の安全保障問題に取り組むための鍵である。しかし、研究と技術革新の成果をグローバルなクライエントに提供するには、戦略的なアプローチが必要になる。そのため、水に関心をもつ英国のすべての人や団体、すなわちユーザー、サービスプロバイダ、政策決定者、資金提供者、供給業者、民間団体等がこのたび結集した。研究、サービス、技術の間で緊密な協力を進めれば、英国は世界の水産業界のリーダーとして良い立場に立つことができるという。
UKWPは当面、次の主要目標を掲げていく。
- さまざまな異なる英国の水コミュニティを横断した相互理解、協力、調整をより良いものとし、これによって、グローバルな水の安全保障という課題や、変化する環境にあって強靭さを備える必要性に、英国がより効率的に対応できるようにすること。
- 研究の成果や技術革新をより効果的に実行に移すことで、グローバルな水市場に占める英国のシェアを大きくしていくこと。
発足にあたっては、英国のさまざまな水関連会社、団体や機関(Arup、British Water、英国環境省、HRウォリングフォード社、イノベーティブUK、英国気象庁、英国自然環境研究会議(NERC)、ピンセント・マンソンズ法律事務所、英国上下水道事業者協会(SBWWI)、Severn Trent Water、UKトレード&インベストメント、UKウォーター研究技術開発パートナーシップなど)の代表者が参加した。
初代会長は、元英国環境庁長官のLord Chris Smith氏である。環境省のDan Rogerson水担当閣外大臣は、「このたびの新しいパートナーシップは、英国の水産業界のあらゆる部門に対し、巨大なチャンスを開くものである。新しいテクノロジーを開発しながら、知識や技能を蓄積していけば、グローバルな課題に応えるため、英国はかつてない絶好の位置につけることになる。パートナーシップが水産業界を取り巻くバリアを打ち砕くとともに、世界のスタンダードを設定していけることを確信している」と歓迎の意を表した。
なおUKWPは、短期的に達成可能な課題として次の3点をあげた。
- 水サービスや水関連製品で、英国が強みをもつ項目の一覧を作成する。
- 「水と農業」「水と都市」といった重要な分野で研究と技術開発を促進する。
- 英国の水研究や水市場の実力を見せつける大規模な国際展示会を主催する。