Suez社とフランス・ジュラ県ドル市、水管理事業に携わる国内初となる混合経済会社SemOpの設立協定を締結

フランスのSuez社と同国ジュラ県のドル(Dole)市は2015年10月6日、人口2万5000の同市において給水事業に携わるDoléa Eau社と浄水事業に携わるDoléa Assainissement社の設立協定を締結した。両社はフランス初の単一事業・混合経済会社(SemOp)であり、資本金は合計98万ユーロ、出資比率はドル市が49%、Suezグループが51%である。なお、理事会の議席はSuez社とドル市に均等に配分されている。

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SemOpは官民の資本により期間を限定して設立され、単一分野に事業活動を集中させる新たな形態の会社である。フランスではSemOpの設立を許可する法律が2014年7月に制定され、2015年9月24日のドル市の決議を経て、今般、Doléa Eau社とDoléa Assainissement社が発足する運びとなった。両社は、Suez社が受注した6700万ユーロの給水・浄水契約の一環として設立されたもので、2016年1月1日から事業活動を開始する。活動期間は13年と定められており、したがって2028年に解散する。その間、両社は主に次のようなプロジェクトに取り組む。

  • 600の配管系統及び12kmの水道管を交換する。
  • 下水道システムを改良することにより生物多様性を保護する。
  • 下水道システムの流量を最適化する。

なお、ドル市には2017年末までに1万2000体の遠隔検針装置が設置されるとともに、上水道システムをリアルタイムでモニタリングし漏水を迅速に検知できるインテリジェント管理ソリューション“Aquadvanced*1”が導入される見込みである。

SemOpについて

新たな会社形態であるSemOpは、公共事業を公営の形で直接管理するか民間委託するかの間で逡巡している地方自治体に対し、もう一つの選択肢を提供するものである。従来の混合経済会社(Sem)と同様に官民協働であるが、SemOpは次のような点でSemと異なる。

  • 地方自治体はSemOpの設立に先立ち、民間の出資者を指名するための単一の入札を行うことができる。
  • ŸSemOpは単一の明確な目的のもとに設立され、契約の終了あるいは目的が達成された時点で解散する。

このようなSemOpの特質の利点について、ドル市のジャン=マリ・セルミネ(Jean-Marie Sermier)市長は「事後的(ア・ポステリオリ)ではなく事前(ア・プリオリ)の管理が可能になる」と述べている

ドル市はDoléa Eau社とDoléa Assainissement社の設立に係る入札を抱き合わせで実施した。その間の事情についてセルミネ市長は、「我々は2つの使命(=給水事業と浄水事業)を果たす単一のSemOpを設立したかったのであるが、法律がそれを許さなかった(あくまで1つの事業に対して1つのSemOpでなければならない)」と説明している。同市長はDoléa Eau社とDoléa Assainissement社の社長に就任した。両社の従業員は14名が予定されており、そのうち12名はSuezグループ、2名はドル市の人員となる見込みである。

*1 2014年6月2日にSuez社が発表した、上水道システムを最適化するための新たなツール。本ツールは、上水道管内の流量、圧力、水質をセンサで計測し、リアルタイムで流体の挙動を監視する。これにより、漏水場所の特定や未然防止が可能となる。

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