南アフリカ西ケープ州、淡水化の利用を検討中――エネルギーの確保が課題

南アフリカ最南部の西ケープ州は、西と南を大西洋で囲われているものの、現在、重大な水危機に直面している。州政府とその下の都市圏や郡などは、水という貴重な資源をいかに確保するかについて、いくつかの選択肢を比較検討している。そのなかでも検討の中心になっているのが、水の再生利用と海水淡水化である。

西ケープ州のAnton Bredell環境大臣は先ごろ、同州がケープタウン都市圏とウェストコースト郡に淡水化プラントの建設を計画していると述べた。同大臣はまた、淡水化は費用がかかるが、水のセキュリティのためには欠かすことができないと語った。しかし、同州のAlan Winde経済機会大臣は2015年11月5日、淡水化プラントは選択肢にはいってなく、州としては賢明な水の利用のほうをめざしていると述べた。西ケープ州政府はまた、ブランドブレイ・ダムの貯水容量の増強も検討することにしている。

中央政府も淡水化を検討も、電力事情がネック

中央政府は水資源戦略のなかで淡水化の利用を提案しており、2030年までに南アフリカの都市の上水の最大10%を淡水化でまかなえるようになると予測している。しかし、淡水化のプロセスはエネルギー集約的で、4000リットルの海水を淡水化するのに最大14 kWhの電力が必要になるため、淡水化の採用によって南アフリカの電力需給の逼迫にさらに拍車がかかることが懸念される。ケープ商業会議所のJanine Myburgh会頭は、淡水化が将来必要になるとして、つぎのように話している。「クーバーグ原子力発電所の廃熱を淡水化に使うべきだ。これは、淡水化が最も盛んな中東ではふつうにおこなわれていることで、われわれがここでそれをしようとしていないのは驚くべきことだ」いっぽう、ケープタウン大学土木工学科の主任教授で都市水道管理研究ユニット長を務めるNeil Armitageは、淡水化は最後の手段として考えるべきだとして、こう述べている。「原子力発電所からエネルギーを得るとなると、忘れてならないのは安全面での懸念と、廃棄物処分の問題だ」

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