インド、地下水の利用申請の審査に係る評価基準ガイドラインを発行――地下水涵養措置および廃水リサイクルを義務化

インド中央地下水局(CGWA:Central Ground Water Authority)は、地下水の利用申請の審査に係る評価基準ガイドライン(Guidelines/Criteria for evaluation of proposals/requests for ground water abstraction)*1を発行し、2015年11月16日より運用開始している。これによると、地下水を利用するすべての事業者は、許可証(NOC:No Objection Certificate)を取得しなければならない。従来のルールでは、2012年11月15日以降に設立される水多消費型工場については、地下水の過剰採取が懸念される地域において事業が禁じられていたものの、既存の工場については操業が認められてきた経緯がある。新たなルールはすべての事業者に適用され、NGOを含む活動家からは、地下水保護に資するものとして歓迎されている。

ガイドラインの概要

CGWAは、2015年11月現在、インド全土において162の地域を地下水の保護が必要な特定地域として定めている。2015年11月16日以降、この特定地域においては、飲料目的の場合を除き、地下水の利用が禁じられる。事業目的の地下水利用は、これらの特定地域以外の場所でのみ認められ、許可証の発行に際しては、以下の表の条件が課されることになる。なお、水多消費型の事業者は、“Over-exploited(地下水が過剰に採取されている地域)”に該当する地域において地下水の取水が禁じられる。

地域カテゴリ(注) 強制的リサイクル/再利用率(地下水涵養を除く) 許可される取水量
Safe
(地下水資源量が安全なレベルにある地域)
大規模および中規模の事業体は、廃水のリサイクル/再利用率40%の達成義務あり。 地下水涵養の実施義務あり。
Semi-critical
(地下水資源量がやや危険水域にある地域)
大規模および中規模の事業体は、廃水のリサイクル/再利用率50%の達成義務あり。 地下水涵養の実施義務あり。地下水涵養量の200%を超える採取は認められない。
Critical
(地下水資源量が危険水域にある地域)
大規模および中規模の事業体は、廃水のリサイクル/再利用率100%の達成義務あり。 地下水涵養の実施義務あり。地下水涵養量の100%――すなわち地下水涵養量と同等の量――を超える採取は認められない。
Over-exploited
(地下水が過剰に採取されている地域)
すべての事業体は、廃水のリサイクル/再利用率100%の達成義務あり。 地下水涵養の実施義務あり。地下水涵養量の50%を超える採取は認められない。

*1 http://www.cgwb.gov.in/CGWA/Documents/Revised%20guidelines_12112015.pdf

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