台湾行政院環境保護署(以下、環保署)は、2016年2月4日、「排出する廃水(汚水)に含まれる恐れのある汚染物質ならびにその濃度および排出量を明示すべき事業」*1の規定について公告し、廃水(汚水)中の汚染物質を明示すべき業種、明示すべき項目および生態やヒトの健康を害する危険性の認定基準を明確に定めた。
環保署によると、2015年2月4日に改正公布された水汚染防止法*2では、リスクの予防管理を強化するため、放流水基準の規制外項目については、指定公告事業(中央主管機関が指定・公告した事業)が廃水(汚水)中に含まれる恐れのある汚染物および排出量を明らかにすること(第14条の第1項)、排出する汚染物により生態またはヒトの健康を害する恐れがある場合、リスク評価および管理措置を提出すること(第14条第2項)という規定が改訂増補された。また、放流水基準の規制外項目については、汚染物の明示およびリスク管理という方法により、環境質の維持や企業の公平な競争という目的を達成すると、環保署は説明している。
上記の指定公告事業には、製造工程で大量の化学原料を使用する石油化学業や化学工業、製造工程での原料更新ペースが速い光電材料や部品製造業、ウェハー製造や半導体製造業など4つの業種、また、その水汚染防止措置計画または許可証(文書)の排出許可量(または下水処理管への排出許可量)が1日当たり1万m3に達する事業が含まれる。
さらに、明示すべき項目の種類も明確に規定された。国際がん研究機関(IARC)の発がん性リスク・グループ1の物質、労働部の優先管理化学品のうちCMR物質*3(発がん性カテゴリー1、変異原性カテゴリー1、生殖毒性カテゴリー1)が採用されるとともに、適用外項目が削除され、明示すべき化学物質は計129種類となった。
それと同時に、生態やヒトの健康を害する危険性の一致を図るための認定基準、および事業者によるリスク評価報告の作成、監督官庁による審査実施の根拠として、「水汚染防止法のリスク評価および管理報告の作業規範」も規定された。
*1 http://ivy5.epa.gov.tw/docfile/064662za50204.pdf
*2 EWBJ53号に関連記事有り「台湾、水汚染防止法を改正――違法排水に対する罰金を大幅に引き上げ、悪質あるいは重大な違反行為に対しては7500万円の罰金も」
*3 CMR:carcinogenic, mutagenic or toxic for-reproduction(発がん性、変異原性、または生殖毒性を有する化学物質)