メキシコ水委員会CONAGUA局長は、イベロアメリカーナ大学で開催されたコンファレンスで、都市部から離れた交通不便な場所に散在する村落の上下水サービス改善の為に、市町村への援助を強化することを優先課題としていると述べた。局長によると、こうした地方での上下水サービスの普及が遅れているのは、地理的に僻地に散在している為、従来のシステムである上下水道の敷設が困難であり、また気候変動により使用可能な水の量が変化しているのが原因である。この為CONAGUAでは、人口2500人以下の貧困な村落を対象とした戦略をたて、雨水を貯める容器の設置を教えたり、住民による共同管理となる共同水道を設置したり、節水も兼ねてバイオダイジェスターによるトイレの建設などを推進している。
またCONAGUAは、現在上下水管理は市町村にのみ委ねられているが、住民により良いサービスを提供する為には、技術的・経済的な共同責任をもつ機関を広げるべく、法規制の見直しが必要であると述べている。
なおメキシコの2010年の国勢調査では、全人口の27.7%が50万人以上の都市に住む一方、人口2500人以下の村落に住む人口は23.1%に達し、両極化している(下グラフ参照)。10万人以下の市町村まで含めると34.2%に達して村落分散の比率が高く、上下水道網の敷設による完全普及達成は、困難となっている。
図 メキシコの市町村規模別人口割合(2010年)(単位:%)
(出典:La Razon紙)
CONAGUAが2014年11月に発表した報告書*1によると、2013年のメキシコの飲料水普及率は、都市部で95.4%、農村部で81.6%、全国平均92.3%、いっぽう衛生施設普及率は、都市部で96.7%、農村部で71.2%、全国平均90.9%となっている。また、飲料水処理場の1993年から2013年までの推移は下図の通りである。