中国、水資源税改革試行暫定弁法を公布――河北省では、2016年7月1日より水資源税の徴収試行を開始

中国財政部、国家税務総局、水利部は、水資源の節約、保護、合理的利用を促進するため、2016年5月9日、共同で「水資源税*1改革試行暫定弁法」を公布した。本暫定弁法に基づき、河北省では水資源税改革が2016年7月1日から試行的に実施される予定である。同省では、費用徴収を税徴収に改める方法が採用され、地表水と地下水がその課税範囲に含まれる。従量定額制を採用し、水を多く消費する業界、経済計画を超えて水を消費する地区、基準値を超過して地下水を汲み上げる地区などについては、それに見合って水資源税率を高く設定する。いっぽう、通常の産業用水、生活用水の利用については負担が従来と変わらないように設定される。

河北省が水資源税の試行場所に選ばれた理由は、主に、河北省の水資源が乏しく、基準値を超えた地下水の汲み上げが特に多いためである。そのため、有効な対策を講じて水資源の節約と保護を強化する必要がある。河北省は、一人あたり水資源量が中国全国平均の7分の1、基準値を超えた地下水汲み上げ量と基準値を超えた汲み上げ面積が、いずれも中国全土の3分の1を占めている。2014年以来、河北省では地下水汲み上げの総合的な対策が実施されており、緑化内容の調整、水利整備の強化、農業用水料金の改革などの措置が進められている。

河北省の実情に合わせ、今回の「暫定弁法」では、地下水の汲み上げについては税率を高めに設定した。同一類型の水使用の場合、地下水の水源税額は地表水のそれよりも高い。水資源の乏しい地域では、地下水の水資源税は地表水の税額よりも大幅に高い。基準値を超えて地下水を汲み上げている地域では、地下水の水資源税は、一般の地域よりも大幅に高い。都市の水道網の給水地域で地下水を汲み上げて使用した場合、水資源税は水道網が無い地域の場合よりも高く、原則として地元の同種の用途の水道料金よりも高い。

また、特殊な業界の水使用に対しては、税率が高めに設定される。計画を超過して、または基準量を超えて水を使用した者に対しては、高い税が課せられる。水力発電用、上水道用の取水を除き、事業所及び個人が取水した水の量が、水管理官庁の認可した計画取水量を超過した場合は、通常の水資源税の2倍から4倍が徴収される。

河北省は、地表水および地下水の一般的な水使用に対して、実際の用水量で計算し、最低税率を設ける。平均で、地表水では1立法メートル当たり0.4元以上、地下水では1立法メートル当たり1.5元以上となる。

専門家によると、水資源税の試行は、水を多く消費する企業にとってはコストアップになる。河北省では、各地域の水源の状況に合わせて、現在の産業構造や今後の構造調整の方向性を考慮して細かい分類を設け、最大で5倍の税を徴収する。また、汚水を処理した再利用水、再生水などについては、水資源税が免除される

上述の水資源税改革試行暫定弁法の原文は、以下のURLより閲覧できる。
http://szs.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201605/t20160510_1984619.html

*1 資源税とは、各種の自然資源を課税対象とし、資源の階差収入を調節し、国有資源の有償使用を体現するために徴収される税の一種である。

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