中国環境保護部は、2016年6月12日、「水汚染防止法(改正草案)」(意見募集稿)(以下、改正草案)を公表した。本改正草案は、新「環境保護法」や、「水十条」と称される「水汚染防止行動計画」の方針を継続するとともに、効果重視、地方政府の責任主体性を強調する内容となっている。加えて、農村地域の水汚染防止、有毒有害水質汚染物質管理、工業水汚染防止と浄化について明確な要求および措置を打ち出している。さらに、水質汚染物排出基準体系の革新、情報公開および公衆参加についても、改正の重点として盛り込まれた。当局は、6月30日までに意見を募集する。
今回の「改正草案」は、「総則」、「水汚染防止の基準と計画」、「水汚染防止の監督管理」、「水汚染防止の措置」、「重要機能水系の保護」、「水環境リスク監視管理・早期警報と水汚染事故の応急処置」、「情報公開および公衆参加」、「法律責任」、「附則」の全9章143条から構成されている。
主な改正点として、以下の5点が挙げられる。
1. 水環境質の目標管理の強化
(1) 水生態環境機能区別管理の実施
(2) 水汚染防止計画体系の完備化
(3) 水汚染物排出基準体系の革新(地方政府は、現地の水環境質改善の需要および経済発展レベル・技術条件という2点を考慮して、それぞれ2種類の排出基準体系を構築することが可能になる)
(4) 目標達成評価制度の完備化
2. 水汚染源管理の強化
(1) 水環境許容能力のモニタリング・評価・早期警報システムと体系の完備化
(2) 河川、湖泊、水庫、地下水の合理的水位保障制度の構築
(3) 土地開発計画などに対する環境影響評価制度の実施
(4) 重度汚染企業の出口戦略の確立
(5) クリーン生産と循環型経済発展方針の徹底
(6) 有毒有害水汚染物質リストの作成
(7) 「大気汚染防止法」を参考に、一部の製品品質基準にて水環境保護要求の明確化
(8) 地下水保護、良好水系保護における保護優先原則の徹底
3. 水汚染防止監督管理制度体系の最適化
(1) 「核心的制度」と位置付けられる汚染排出許可制度の実施
(2) 水環境質の改善需要に基づき、水汚染物質の総量規制制度の完備化
(3) 科学的かつ標準化した水環境質モニタリングおよび水汚染物質排出モニタリング制度の構築
4. 主体責任の明確化と徹底
(1) 政府と関係部門の責任の明確化と徹底
(2) 汚染排出企業(事業者)の責任の徹底
5. 各種手段の統合運用
(1) 関連義務・責任の明確化、処罰の強化
(2) グリーンクレジット(環境金融)、環境汚染強制責任保険、水生態環境補償などの経済手段の運用
(3) 新「環境保護法」に明確に規定されている公衆参加の権利の徹底
(4) 司法手段で水汚染損害賠償問題の解決。
なお、上記の「水汚染防止法(改正草案)」(意見募集稿)」の原文は下記のURLより閲覧できる(中国語:簡体字)。
http://shj.mep.gov.cn/zhgl/201606/t20160612_354383.shtml