米ミシガン州、フリント市の水道水鉛汚染で仏Veolia社と米LANを民事告訴

米国ミシガン州のBill Schuette司法長官は同州フリント市で開催された直近の会議で、フランスのVeolia Environnement社、および米ヒューストンを基盤とするエンジニアリングサービス会社Lockwood, Andrews & Newnam(LAN)に対する民事訴訟がジェネシー郡巡回裁判所に提起されたことを明らかにした。訴訟事由は、Veoliaに対してはフリント市における鉛による水道水の汚染をもたらした業務上過失と詐欺、LANに対しては業務上過失である。Schuette司法長官によれば、同州は両社に対して損害賠償請求を行っており、その総額は数億ドルにのぼる見込みであるという。ミシガン州司法局は、今後、両社及びその他の企業に対して追加の損害賠償請求を行う可能性も示唆している。

Veoliaは2015年2月に飲料水の品質管理をフリント市から委託され、これまでに同市の水道水を飲んでも安全であるとする報告書を少なくとも1本提出し、同趣旨の公式発表を1回行っているが、訴状によれば、同社はそれらの声明が誤りであることを認識していたという。これに対してVeoliaは、フリント市との契約内容は今般の鉛汚染問題とは無関係であり、同社に非があるとする“不当な主張”に対して自衛権を行使するとしている。

一方、LANは2013年に、フリント川を含む新たな水源からの水を処理するためのプラントの準備作業に関与した。訴状では、LANは2015年8月、鉛による汚染を認識せずに、水道水が州の安全要件を満たしているとする報告書を提出したとされている。これに対してLANは、水処理プラントの操業はフリント市との契約に含まれておらず、したがって同社は水質に関していかなる責任も負っていないとする声明を出し、“根拠のない請求”に対して自衛権を行使するとしている。

人口約10万人のフリント市は、水道水の鉛汚染問題が顕在化した2014年当時、州が任命した管財人の管理下にあった。この年、同市は経費削減のために、上水道の水源をデトロイト市の公営水道からフリント川に変更した*1。しかし、フリント川の水質はデトロイト市の公営水道よりも腐食性が高いため、老朽化していた水道管から多量の鉛を浸出させた。鉛は有害物質であり、特に児童は影響を受けやすい。

*1 フリント市の財政が破綻したために管財人の管理下に置かれ、その管財人が経費削減の一環として、高額な公営水道から市内を流れるフリント川に水源を変更したということである。つまり、水源の変更は管財人の判断であり、同市の市民や行政当局の意思ではなかった。

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