米で「国民のための水インフラ改善法」が成立――フリント市などへの支援が可能に

米議会で「国民のための水インフラ改善法案」(第114議会のS. 612法案)が2016年12月10日に可決され、同年12月16日にオバマ大統領がこの法案に署名してこれが法律として成立した。この法律は、全米各地の水インフラの改善を促進することを目的としている。より具体的には、この法律には全米各地の水路の改善、水源域の回復、上水道インフラの改善、先住民の水利権の問題の解決、絶滅危惧種法のもとでの連邦および州の水プロジェクトなどに関する条項が盛り込まれている。

法案審議の過程では、水道水の鉛汚染に悩むミシガン州フリント市などへの支援や、水不足が長年つづいているカリフォルニア州への支援などに関して、これを連邦政府の資金でまかなうべきかどうかの激しい論争がくりひろげられた。

フリント市等の水道の鉛汚染対策

フリント市は従来、デトロイト市から水を買っていたが、財政破綻のためにそれができなくなり、フリント川の汚染された水を水道の水源とした結果、老朽化した水道管が腐食されて鉛が溶け出し、水道水が高濃度の鉛に汚染される事態となっている。同様の問題は他の自治体でも起きている。「国民のための水インフラ改善法」は、フリント市を含むこうした自治体に対して、連邦政府が1億7000万ドル(約190億円)を支出するとしている。

カリフォルニア州の水不足対策

この法律はまた、水不足のつづくカリフォルニア州に対して、貯水と水供給、洪水防止、淡水化、および水リサイクルなどを促進するために、連邦の資金を投入するとしている。

なお、「国民のための水インフラ改善法」のテキストは以下のURLで読むことができる。
https://www.congress.gov/bill/114th-congress/senate-bill/612/text?q=%7B%22search%22%3A%5B%22s612%22%5D%7D&r=1

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