2017年3月10日に現地で報じられたところによると、インド中央公害管理委員会(CPCB)は環境基準を超える汚染物質を排出したとしてガンジス川沿いの企業20社に対し措置命令を発行した。このうちいくつかの工場は、排出基準を遵守するための措置を執るまでの間、工場の操業を停止するよう命じられた。これらの違反は、CPCBが工場査察の際に発見したもので、CPCBはこれら20社に対し、理由の説明を求める通告書(show-cause notice)を発行していた。
今回のCPCBの措置命令と理由開示通告を発行する前にも、オンラインモニタリング機器を導入していない企業、基準を超える廃液を排出している企業に対し度重なる警告を発していた。こうした経緯を経て、2017年2月、CPCBは深刻な汚染を起こしていた化学、乳製品、食品・飲料、製紙、製糖、革なめし、繊維、漂白、セメント産業の工場に今回の通知を発行した。このうち、製糖、蒸留、製紙、化学工場はすでに通知が発行されているが、革なめし、繊維、漂白業の工場には今後さらに通知が発行されるという。これらの通知は、1986年環境保護法の第5条に基づき発行されるものである。
通知を受けた企業の1つに化学品会社Tata Chemicals社があり、同社は工場における全ての操業を即時停止するよう命じられた。1月に行われたCPCBの検査において採取された同社の廃液サンプルからは、基準を超える生物化学的酸素要求量およびフッ化物が検出された。CPCBの通知には、「検出されたフッ化物の濃度17.89 mg/l は、定められた基準値1.5mg/lを大きく上回る」と記された。フッ化物は斑状歯を引き起し、悪影響を及ぼす。
また、CPCBから通知の発行を受けた蒸留工場は合計11箇所あり、このうち9箇所がウッター・プラデシュ州、残り2箇所がビハール州とハリヤーナー州に位置している。工場査察においてCPCBは、ウッター・プラデシュのこれら9つの工場が州の廃液ゼロ(ZLD:zero liquid discharge)に関する基準に違反していることを発見し、彼らに製造工程の停止を命令、廃液ゼロ基準に適合するための行動計画を遵守しなければ、製造を再開することは認めないとした。