マレーシア国エネルギー・グリーンテクノロジー・水資源省(KeTTHA:Energy, Green Technology and Water)は2017年4月30日、ジョホール州パシル・グダン(Pasir Gudang)及びテブラウ(Tebrau)にて現在稼働する全ての下水処理場の代替施設として、パシル・グダンに再生水処理施設を新設する計画を発表した。同施設にて生成された再生水は同地域の産業顧客へ供給される予定である。
Zaini Ujangエネルギー・グリーンテクノロジー・水資源省次官によると、同プロジェクトの詳細内容は、Najib Abdul Razak首相が議長を務め、近々開催されるイスカンダル地方開発庁(Iskandar Regional Development Authority:Irda)との特別会合にて検討される見込みである。現在パシル・グダン及びテブラウでは158カ所の下水処理場が稼働しており、150万人に上る地域住民から排出された下水が処理されている。
新たに建設される再生水処理施設では、1日あたり2億6000万リットルの再生水を生成でき、現在稼働している全ての既存下水処理場を置換することができる。また、再生水処理施設にて処理、生成される再生水の水質レベルは高く、パシル・グダン地域にて操業する産業施設へ再生水として活用することが可能である。Zaini Ujang次官はまた、再生水処理施設をパシル・グダンに建設計画した理由として、同地域では産業の発展が目覚ましいことを挙げた。
ジョホール州知事を務めるMohamed Khaled Nordin氏は、同州政府は日頃から、連邦政府が支援する開発計画を支援してきたとし、特にイスカンダル地方の開発に積極支援を行ってきたことを明らかにした。同知事は、「ジョホール州政府は、国家経済に著しく貢献する地域の1つであるパシル・グダン地域の開発を、連邦政府へ要請した。既存の下水処理場は古く老朽化が進んでいることから下水処理が十分でないため、同地域における下水処理場を調査、更新に向けた、連邦政府による評価や提言を州政府は歓迎している」と述べた。
EnviXコメント
参考までに、マレーシアにおける下水処理の現状を以下にまとめる。下水処理の内訳によると、全体の6割以上の国民が公共下水処理施設に接続しており、それに続くの浄化槽の利用である。
表 マレーシアでの下水システムの利用の内訳
(出典:マレーシア国家上下水道委員会(SPAN)[1])
下水システム | 利用者数(人) | 割合(%) |
Public sewage treatment plant | 23,517,185 | 61.8 |
Individual septic tank | 6,747,774 | 17.7 |
Pour flush | 4,474,293 | 11.8 |
Private sewage treatment plant | 2,795,877 | 7.3 |
Communal septic tank | 532,051 | 1.4 |
また、公共下水処理施設(Public sewage treatment plant)の利用者の地域別の内訳はセランゴール州が最大で、クアラルンプール、ジョホール州がそれに続く形となっている。セランゴール州はマレーシアのなかで人口とGDPが最大の州であり、特に製造業が国内で最も盛んな州である[2]。
[1] http://www.span.gov.my/index.php/en/
[2] 株式会社国際協力銀行(JBIC)(2014)、マレーシアの投資環境
http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2015/08/40703/inv_Malaysia24.pdf