上海市の水務局および発展・改革委員会は、2017年5月22日、「上海市『第13次5カ年計画』期間（2016年～2020年）における水資源消費総量および消費強度の両規制行動実施計画」を発表した。同計画により、上海市では、2020年までの期間、都市の発展規模、人口規模、産業構造や配置など経済社会の発展要素と水資源における調和の取れた発展の基本的な実現を目指す。2020年までの達成目標は、以下のとおりである。
- 総水使用量を129億3500万億m3以内に抑制。
- GDP 1万元当たりの水使用量および工業付加価値1万元当たりの水使用量を2015年比で、それぞれ23%および20%削減
- 地下水の年間採取量を500万m3以内にまで削減。
水不足の解決に向けた取り組み
上海市は、深刻な水不足に悩まされている。上海市水供給管理所のシニアエンジニアである吴耀民氏によると、同市で利用可能な淡水は地表水資源の20%のみで、1人当たりの水資源量は全国平均の40%、世界平均の10%にとどまり、国連が21世紀に飲用水不足を予測した世界6大都市の1つに挙げられている。このような背景から、上海市では現在、海水利用プロジェクトの推進が始まっている。例えば、金山石油化学発電所、漕涇発電所、臨港発電所などでは、淡水の代わりに海水を冷却水に利用するプロジェクトが実施されている。さらに、上海市は、非在来型水資源の利用も大々的に推し進めており、機関、学校、病院、文化・スポーツ施設、交通結節点、商業コンプレックスなど各種大型公共建築物での雨水貯水利用プロジェクトの普及を図り、汚水処理場、浄水場の流出水や逆洗水を利用した工場敷地の緑化散水、または道路や施設の洗浄を奨励している。しかし、水資源の貴重さに対する上海市民の意識は、依然として低い状態にある。関連データによると、市民1人当たりの1日の生活用水量は昨年増加に転じ、2015年比で5.4ポイント増の118 Lにまで達した。
2020年までに達成するべき各種の目標
上海市水務局によると、2015年、上海市におけるGDP 1万元当たりの水使用量、工業付加価値1万元当たりの水使用量は、それぞれ31 m3および53 m3。関連する行動実施計画の要求に基づき、2020年までに上記2項目の水使用量をそれぞれ23%および20%削減する。2016年には、上記2項目の9.68%および3.77%削減を達成したが、工業付加価値1万元当たりの水使用量については、さらなる削減が求められる。
図 水使用量の削減目標
地下水の年間採取量を500万m3以内に抑えるという目標達成に関連した業務については、良好な進展がみられた。2015年、同市の地下水採取量と涵養量は、それぞれ430万m3および2328万m3で、採取量と涵養量の割合は1 : 5.41にまで向上した。これは、地下水を1 m3採取するごとに5.41 m3の水を涵養することに相当する割合である。2015年の地下水採取量は2014年同期比で24.8%減少し、地下水涵養量は10.8%増加した。2016年および2017年、上海市の水務部門は、年間地下水総採取量を500万m3以内に制御し、年間地下水涵養量を2200万m3以上に保つよう各関連機関などに通知した。こうした努力を経て、同市の地下水採取は合理的な仕組みへと変化し、地下水の各帯水層の水位についても顕著な上昇を遂げている。
情報筋によると、上海市では、「第13次5カ年計画」期間中、最も厳格な水資源管理審査が実施される見通しである。同審査では、各区の政府および水使用量の多い事業者に対して、水使用総量と使用強度の規制目標が割り当てられ、毎年の審査結果がインターネット上で公表される。実施が不十分な政府部門や企業に対しては、監督管理部門による行政指導、通達などの措置を講じて実施を促す。無分別な決定や汚職、職務不履行による水資源の浪費、水環境の破壊などを発生させた関連責任者については、法や規律に基づきその責任を追及する。
なお、「上海市『第13次5カ年計画』期間（2016年～2020年）における水資源消費総量および消費強度の両規制行動実施計画」の原文は、以下のURLにて閲覧可能である（中国語：簡体字）。
http://www.shanghai.gov.cn/nw2/nw2314/nw2319/nw12344/u26aw52459.html
