2017年12月21日、ブラジル下院広報に、「同環境委員会が国家水資源政策(法律9433/97)の原則に水の再利用を追加する法案PL2245/15[1]を承認する」旨が公表された。同政策の第1条には、水が公共財産であることや枯渇した場合は人や家畜の飲料水として優先利用されること、経済的価値がある限られた天然資源であること等の6原則が定められているが、法案は更に7番目として「高品質の水について、余剰がなければ、需要度が低い場合は使用してはならない」という一項を追加するものである。
この一項はリサイクルした再生水や化学的な処理をしていない水の使用を促すもので、用途としては洗浄、散水、トイレなどが考えられているが、特にブラジルで水の消費の7割を占める農業分野での使用が念頭に置かれている。環境委員会のNilto Tatto委員長は、「水の再利用を巡る議論は、新たな水源を見つけることが難しい首都圏で急務となっている。例えば、サンパウロ市は市から何百kmも離れた場所で水源を確保している。この問題は他の地方でも起こっているので、再生水の利用を政策とすることは重要である」と述べた。
ブラジリア連邦区水・エネルギー・衛生規制庁(Adasa)のPatrícia Cáceres調整官は、「水の再利用については国家水資源政策や衛生基本法(法律11445/07、水の供給、排水、廃棄物処理等の公共サービスを規定)の更新が待たれる。サンパウロ州やセアラ州ではすでに水の再利用を規定した州法を備えている」と語った。Adasaはブラジリア大学と共同で建築物での雨水の利用や生活排水の再利用についての研究を行っている。
最近、都市開発委員会の公聴会で、専門家が水不足の解決策として水の再利用を推奨し、法整備の必要性を訴えた。政府はここ数か月で生活排水の再利用を拡大するプログラム(Interaguas)を完成せねばならない。2030年までに産業用水や農業用水として再利用される水の生産を毎秒2 m3から毎秒10 m3に引き上げることを目標としている。
法案PL2245/15は今後、憲法・司法委員会で審議される。
[1] EWBJ59号に関連記事あり「ブラジル下院で質の高い水の使用制限に関する法案が審議中――水の再利用を促進」