中国河北省の環境保護庁と品質技術監督局は、2018年9月4日の共同記者会見上で、2018年10月1日より3本の強制地方標準を施行し、3大流域における化学的酸素要求量(COD)など5つの汚染物質排出制限値を厳格化することを明らかにした。上記3本の強制地方標準は、以下のとおりである。
- 「大清河流域水汚染物質排出標準」
- 「子牙河流域水汚染物質排出標準」
- 「黒竜港および運東流域水汚染物質排出標準」
区分に応じた規制
大清河流域は、中心規制区、重点規制区、一般規制区に区分されている。中心規制区には雄安新区全域が含まれ、北京市レベルの最も厳しい汚染物質排出制限値が設定されている。重点規制区には、石家庄市、保定市の22の県(市、区)および定州市が含まれ、一般規制区には、張家口市、保定市、廊坊市、滄州市の15の県(市、区)が含まれている。
子牙河と黒龍港・運東流域は、重点規制区と一般規制区に区分されている。子牙河流域の重点規制区には、石家荘市、邢台市、邯鄲市の37の県(市、区)および辛集市の11の郷・鎮が含まれ、一般規制区には、石家荘市、衡水市、滄州市、廊坊市、邯鄲市の29の県(市、区)および辛集市の4つの郷・鎮が含まれている。黒龍港と運東流域の重点規制区には、衡水市、邢台市、邯鄲市の14の県(市、区)が含まれ、一般規制区には、衡水市、邢台市、邯鄲市、滄州市の20の県(市、区)が含まれている。
北京市や天津市レベルの厳しい汚染物質排出制限値
3本の地方標準は、いずれも北京市や天津市を基準として、化学的酸素要求量(COD)、生物化学的酸素消費量(BOD5)、アンモニア態窒素、全窒素、全リンなど5つの水汚染物質の排出制限値が設定されている。大清河流域の中心規制区における汚染物質排出制限値については、CODが20mg/Lなど北京市の最も厳しい基準であるA類と同一の基準が規定されている。重点規制区におけるCODの排出制限値は北京市の基準のB類に相当する30mg/Lで、一般規制区は40mg/Lに設定されており、国が規定する都市汚水処理場の1級A基準である50mg/Lよりも厳しい制限値となっている。子牙河と黒龍港・運東流域における重点規制区の制限値はV類で、一般規制区の制限値は現行の都市汚水処理場の1級A標準となる。
10月1日以降、3大流域で汚染物質を排出する事業者を新設(改築、拡張)する場合、新標準に基づき汚染物質を排出しなければならない。既存の汚染物質排出事業者については、2021年1月1日以降、新標準が適用される。3本の地方標準が施行された後、各流域への汚染物質排出量は最大で60%近く減少する見込みである。