チリの2017年の上下水事業への投資は6億5000万米ドルと過去10年間で最高となる

チリの上下水会社協会ANDESSが2018年8月に発表した「チリにおける都市水事事業レポート(Reporte de la Industria del Agua Urbana en Chile)」初版によれば、2017年の上下水事業への投資は6億5000万米ドルと過去10年間で最高、前年比21%増となった。投資の64%は、都市部の人口増加及び気候変動に対応するための飲料水の製造と配水にあてられ、18%が下水道、13%が浄水、5%がその他となっている。


図 チリでの上下水事業投資の内訳(2017年)
(出典:Reporte de la Industria del Agua Urbana en Chile)

ANDESSのレポートによれば、90年代には平均年1憶8400万米ドルだった上下水事業への投資は、2010年代は平均年4憶5700万米ドルに成長し、2018年は最低6憶米ドルに達する見込みとなっている。また過去3年間の上下水サービス会社の投資は、1米ドルの利益あたり1.1米ドルとなっており、都市部の住民の生活の質改善に貢献している。

2017年は、水源からの水供給設備の建設や修復、上水プラントの拡張、停電の際も飲料水供給が継続できる電力バックアップ計画、水道網の効率管理へのテクノロジーへ、投資が集中した。2000年から2017年まで累積67億7700米ドルに達した投資の向け先は、初期は下水処理が中心であったが、近年は、干ばつに対応する新しい水源の開発や、自然災害でも飲料水が供給できるようにする為の補助・補強施設工事へと変遷している。また設備への投資だけでなく、飲料水の製造と配水のスマート管理センターなどのイノベーションにも投資がなされている。スマート管理センターは、設備の稼働に影響する故障をリアルタイムに検出することで、住民にタイムリーに断水を通知すると共に、飲料水供給サービスの早期復旧や、地元当局や住民による代替飲料水サービスの発動を可能にするものとなっている。

上下水サービス会社の投資は、今後も過去10年間の平均と同じレベルの5億米ドルの投資を継続し、都市開発と都市部の住民の生活の質改善に貢献する予定となっている。

本レポートで述べられている、チリの地域毎の水事業に関するこれまでの成果と今後の課題は以下の通り。

図 チリでの水事業のこれまでの成果と今後の課題
(出典:Reporte de la Industria del Agua Urbana en Chile)

ANDESSの都市部の水事業レポート初版は、以下のサイトからダウンロード可能。
https://www.andess.cl/wp-content/uploads/2018/08/Reporte-Andess-2017.pdf

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