Suezは2019年10月7日、同社のベンチャー・キャピタル・ファンドであるSuez Venturesが、水道網管理技術を専門とするイギリスのInflowmatixの株式を280万ポンド(約3億8000万円)分取得することで資本参加したことを明らかにした。Inflowmatixの既存の株主には、同社の設立メンバーのほか、IP Group Plc、Parkwalk Advisorsなどがある。
Inflowmatixはインペリアル・カレッジ・ロンドンのスピンアウト企業として2015年に設立された。同社は世界中の水道ユーティリティ向けの短測定周期水圧データとその解析、水道網管理などのサービスを提供するトップ・クラスの技術企業である。同社の短周期水圧測定端末InflowSense、データ解析エンジンInflowSolve、およびデータ・端末管理・可視化プラットフォームInflowNetから成るInflowSysシステムは、水道網管理者が水圧不安定現象を連続的にモニター、診断、および管理することを可能にしている。これにより、破裂や漏洩の頻度を下げるとともにコストを低減することができるほか、水道網の保守作業の優先順位付けも可能となる。Inflowmatixは2017年以来、世界中の40を超える顧客にInflowSysによるサービスを提供している。
図 InflowSenseの実物
(出典:Inflowmatix[1])
世界中の自治体の関心事である水インフラのレジリエンス
地球規模で喫緊の課題となっている水資源保護、水道網の老朽化、それに厳しさを増す資金的制約が、世界中の自治体を水インフラの稼働効率の絶えざる向上に駆り立てている。水道網は効率的で回復力のあるものでなければならず、水道管等の交換は必要が生じた場合にのみなされるものでなければならず、また、水道網管理は市民への経済的な水道サービスを保証するべくなされなければならない。
Inflowmatixは短測定周期水圧センサーと高度なデータ・プラットフォームとを組み合わせたInflowSysを開発し、水道ユーティリティに対し、水道網のふるまいとパフォーマンスをよりよく理解するための情報を提供してきた。これにより、水道ユーティリティは資産管理の方法を改善するとともに、水道網全体の水圧を最適化することによって重要なパーツの故障の可能性を低減することができる。
水道網パフォーマンスの改善のためのデジタル・ソリューションの事業展開を加速
InflowmatixとSuezのチームはこの数ヵ月間、いくつかの国でそれぞれの顧客のためにいっしょになって働いてきた。SuezのJean-Marc Boursier COOはこう述べている。「InflowmatixのソリューションのユニークさとSuezの水管理の専門的知見とが合わさって、すでにわれわれは顧客の水道網パフォーマンスと資産管理の目標に合ったきわめて幅広いデジタル・ソリューションを提供することに成功してきた。このパートナーシップは、水道管破裂に関連する経費を2023年までに3000万ユーロ(約36億円)削減することをめざした次期事業計画の一部をなすCalm Networksという新たな提案の土台となるものだ」Suezは世界中で総延長30万キロメートルの上水道管網を管理している。
また、InflowmatixのMike Williams CEOはこう述べている。「Inflowmatixが市場にもたらした革新的なソリューションがSuezに認められたのは、たいへんにうれしい。両社のチームがひきつづき力を合わせていくことで、Calm Networksが水の節約、重要資産の保護、そして水道ユーティリティの総コストの削減に大きな役割をはたすことを確信している」