テキサス州エルパソ地域の水道事業者El Paso Water、及び、環境系エンジニアリング会社Carolloは2019年12月下旬、下水処理水(再生水)の飲用再利用を行う大規模な高度水浄化施設(AWPF:Advanced Water Purification Facility)の設計完了に向けて、米内務省管轄下の水利再生利用局(Bureau of Reclamation, Department of Interior)から350万ドル(約3 億2684万円)に上る補助金を獲得したことを明らかにした。今回の補助金を通じて、最新技術を用いたAWPFを設計、建設し、下水処理水の飲用再利用を図る。
El Paso Waterを含めた水道事業者は過去数十年に亘り、灌漑用水や他の用途を目的として下水処理水を再利用してきた。しかし今回のプロジェクトでは、AWPFの設計、建設を通じた下水処理水の飲用再利用を目的としており、下水処理水をエルパソ市の上水道システムへ直接供給する。同施設は、運用開始後、1日当たり最大1,000ガロンに上る下水処理水を供給し、エルパソ市の上水道水として補完的な役割を担う。米国の再生水利用推進団体であるWaterReuse Association理事長を務めるPatricia Sinicropi氏は、「今回のAWPF建設プロジェクトは、干ばつが進む地域を持続発展させるために、最新技術を用いて安全且つ持続可能な手法にて地域の水供給を検討する、先進的な考えを持つ米国内外の水道事業者の見本となる」と述べた。
環境エンジニアリング企業であるCarolloがAWPFの設計を担当しており、現時点で約30%が完了している。今回の補助金獲得を受けて、同施設の設計完了率を95%までに引き上げる。Carolloのプロジェクトマネージャーを務めるSanaan Villalobos氏は、「我々は、エルパソ地域にAWPFの建設を支援できることを喜ばしく思う」と述べた。同社は、AWPFの設計を担当するだけでなく、今回とは別に新たな補助金獲得に向けてEl Paso Waterと共同で取り組んでいる。今回の施設の建設コストは総額7,500万ドル(約81億7,103万円)に達し、補助金の獲得を通じてその一部を回収することを目的としている。El Paso Waterのコミュニケーション・マーケティング部門のマネージャーを務めるChristina Montoya氏は、「El Paso Waterは、これらの大規模なプロジェクトを遂行する上で、水道利用者への影響(負担)を最小限に留めることを常に念頭に置いており、我々は補助金の獲得に積極的に取り組んでいる。Carolloは、同AWPFの設計を担当する優れたパートナーであるほか、今回付与される補助金と同様に新たな別の財政支援を特定、申請していく」と述べた。
El Paso Water及びCarolloに加えて、テキサス州環境質委員会(TCEQ:Texas Commission on Environmental Quality)が共同で、今回のAWPFの予備設計やパイロット試験に取り組んでいる。同施設を着工する前に、TCEQが同プロジェクトを審査、承認する予定である。