世界保健機関、飲料水媒介の病気を防ぐために改定された飲料水指針を発表

毎年、飲料水媒介の病気が原因で200万人の人々が死亡し、さらに何十億人もの人々の具合が悪くなっている。そのほとんどが5歳未満の子供である。しかし、この健康障害や苦しみの大半は避けることができるものである。この汚染の大部分を防ぐ手段は、われわれの手の届くところにあるにもかかわらず、人々は汚染された水を飲んでいる。

この状況に対処するために、世界保健機関(WHO)が2011年7月4日に発表したGuidelines for Drinking-water Quality(飲料水質指針)の改訂版(第4版)では、各国政府に「水安全計画(Water Safety Planning)」アプローチを採用して飲料水の質の管理を強化するよう求めている。このアプローチがそれぞれの国で実施されると、公衆衛生は大幅に、かつ持続的に改善される可能性がある。この指針によって、水道事業者は、汚染物質が集水域から消費者が使う水に入りこむ潜在的なリスクを系統的に評価し、その結果得られた所見に基づいて対応策を取り、そのプロセスを記録しなければならなくなる。

この指針は、世界的に、飲料水質に関するもっとも権威ある枠組みとみなされており、これに基づいて国の法規が作られることがよくある。

この指針は、安全で汚染されていない水を提供するという共通の課題を強調するだけでなく、新しい解決策を詳しく示している。家庭での雨水貯留と安全な貯水から水道用水供給事業や気候変動との係り合いについての政策的助言にいたる総合的な優良事例が、すべてのレベルで勧告されるのは初めてである。

指針にはまた、次のような事項に関する勧告も含まれている。

  • 最低限の手順、特定の指針値、これらの使い方などを含む飲料水の安全
  • 途上国と先進国の両方において、常に最も懸念されている微生物の危険
  • 水温や降雨パターンの変化、ひどくかつ長期に及ぶ干ばつ、あるいは洪水発生数の増加などをもたらす気候変動、気候変動と水質や水不足との係りあい、および水管理方策の一環としてこのような影響を管理することの重要性の認識
  • 貯留飲料水で病気媒介動物の抑制策として使われる殺虫剤のような、以前は考慮されていなかった化学物質に関する情報を含む、飲料水に含まれる化学汚染物質
  • 飲料水からの曝露を通して非常に多くの人々の健康に影響を与えるヒ素、フッ化物、鉛などの主要な化学物質、および、硝酸塩、セレン、ウラン、消毒副生成物などの人々が関心を持つ化学物質

飲料水質指針は、具体的な飲料水媒介の危険に関する何百件ものリスクアセスメントを含んでおり、それらの指針は最近の科学的証拠に基づいてアップデートされている。また、飲料水中の新しい懸念汚染物質についても、初めて具体的な指針が示されている。そのような指針は、たとえば、飲料水中で検出される微量の調合薬から生じる潜在的なヒトの健康へのリスクについて広がりを見せる懸念に対処する際に重要である。