英国環境庁、インド製ナノ粒子下水処理製品の安全評価を有害物質諮問委員会に諮問

英国環境庁は2011年9月9日、ナノ粒子をベースにしたインド製の下水処理製品Nualgiを英国で生産・利用する計画の安全性をめぐって助言するよう、有害物質諮問委員会に諮問した。同委員会は、有害化学品に関して、英国政府に助言する専門的な諮問機関。

環境庁は、英国企業GoldfishBioSolutions社の代表から、Nualgiを英国に輸入して販売し、できれば生産したい、との打診を受けた。この製品は、アルミン酸塩で処理したシリカのナノ粒子からなり、金属塩(鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウム、ホウ素、コバルトなど)で被覆されていて、下水処理を目的に利用される。同社はすでに、上下水道会社アングリカン・ウォーターと接触しているほか、他の英国の顧客にも売り込みを図っていく予定である。

現在、英国には、産業用もしくは環境修復目的で、ナノマテリアルを利用し、意図的に放出する活動に特化した法的規制枠組みが存在しない。王立協会と王立技術学士院は2005年、報告書『ナノサイエンスとナノテクノロジー』(以下のリンクに現物)を出し、「ナノ粒子(とナノチューブ)の及ぼす潜在的リスクを十分理解できるようになるまで、ナノマテリアルの意図的な環境放出を最小限にすべきである」と勧告した。
http://royalsociety.org/uploadedFiles/Royal_Society_Content/policy/publications/2004/9693.pdf

英国政府は、この予防的な措置に同意し、さらに2005年の報告書『工学的ナノ粒子のもたらす潜在的リスクの特性評価』のなかで、「ナノ粒子を安全に利用する究極的な責任は、それを含む製品の生産者にある。そういう製品を上市する前に、安全評価を行って、故意に環境に暴露する場合の特性を明らかにしておく必要がある」と述べていた。

英国環境省はこうした勧告に従いながらも、ナノマテリアルとその利用・放出に関する特別な法令が存在しないことから、Nualgi利用計画を止めさせる規制的立場をとりえないでいる。有害物質諮問委員会によると、表面処理されたナノ粒子製品を生産するのに金属塩を使う場合、年間1,000トンを超えるものとして登録されれば、REACH規則を適用する余地がある。その場合、金属塩の特殊な利用をREACH登録ドシエに収載すべきであり、そうすれば安全な利用を実証できる。この作業を行う責任は、輸入者か生産者にある。

Nualgiは、下水中の物質の生分解を促進するとともに、珪藻の繁殖を促す特殊な栄養素を提供するという。そして珪藻の濃度が増加すれば、動物性プランクトンの栄養源が増え、これが無脊椎動物や魚類の栄養素になっていくという。下水100万リットルあたり1kgの濃度で直接に廃水に添加して使用するようである。インドでは2005年から、「有害性の証拠もなく、意図せざる結果も出ないまま」使われている。同国で特許出願中であるという。