Ford社は、2013年3月22日、2012年に製造した自動車1台当たりの平均水使用量が、2011年比で8.5%削減されたことを発表した。同社は、2015年までに1台当たりの平均水使用量4 m3という目標を掲げている。
2000年からFord社は節水などに取り組み、自社の冷却塔から部品洗浄や塗装といった全ての工程において水使用量を削減してきた。その結果、同社の世界全体での年間水使用量は、2000年の6400万 m3から、2012年には2400万 m3へと削減された。これは、米国民の平均的な年間水使用量の9万9000人分、もしくは、オリンピックサイズのプール1万6000個分の水に相当する量である。Ford社の環境品質局のAndy Hobbsディレクターによると、工場などでの使用した水の量を詳細に測定、管理したことで、今回のような大幅な削減につながったという。
2000年に、Ford社は自主的な取り組みであるGlobal Water Management Initiativeを発表し、節水や水質管理、雨水の再利用といった施策を実施してきた。このような水資源管理は、同社の掲げる人権、労働環境および社会的責任に関する規約を補完するものとなっている。このようなFordの活動について、同社のSustainability, Environment and Safety Engineering部門のRobert Brownバイスプレジデントは次のように述べている「自動車の製造工程の多くの部分で水が必要となる。そのため、Ford社は水危機の重要性を認識した上で、水の保全に専念し、責任ある水資源の利用に取り組んできた。」
2012年に実施した施策
水資源の保全に向けて、Ford社は2012年に様々な施策を行ったが、そのうちの1つとして、Ford Fundによる中国、インドネシア、タイ、フィリピン、インド、ドイツ、南アフリカでの19の水保全に関するプロジェクトがある。またそれ以外にも、各地の工場で以下のことを実施した。
- ドイツ・ケルンのエンジン工場
乾式機械加工を導入し、生産したエンジン1台当たりの水使用量を50%削減 - 南アフリカ・シルバートンの組み立て工場
250万ドル(約2億3000万円)を掛け工場内に廃水処理施設を導入し、水の再利用を最大15%増大 - インド・チェンナイの組み立て工場
新システムを導入し、水の100%リサイクルを達成 - 米国・ルイスビルの組み立て工場
駐車場の舗装素材を交換することで雨水の流出を減らし、近隣の河川などを保全
Fordの掲げる目標
Ford社では、水資源に関して以下の目標を掲げている。
- 工場での水の消費量の最小化
- 地域の水危機および費用対効果を勘案した水関連技術への投資
- 排水時における、地域の水質基準または自社の水質基準のうちより厳しい基準値の遵守
- 製造工場周辺の地域コミュニティの水資源管理、および製造に必要となる水資源の安定的な確保の両立