Dynamic Water Technologiesの電気化学プロセスを用いた水処理技術、高評価を得る

米アリゾナ州に本拠を構える水処理ベンダDynamic Water Technologiesは2019年3月中旬、ジョージア州に位置する連邦政府の施設にて水消費量と運用コストの削減に成功したと発表した。同社は電気化学プロセスを活用した水処理技術を保有しており、水及びエネルギーを削減する代替技術として同社技術が取り上げられ、評価された。

米政府独立機関の一つである一般調達局(General Services Administration:GSA)は2018年末、ジョージア州に位置する連邦政府施設にて実施した調査の結果を取り纏めた報告書[1]を発行した。調査対象となった施設は、242,000平方フィートの敷地面積を有するJuliette Gordon Low Federal Buildingである。同施設は、従来の化学水処理を活用した冷却塔2基を有しており、チラーユニットの凝縮器2基を介して冷却塔の水を循環している。米国内の建物(施設)において水使用量が最も多い用途の一つとして、冷暖房に大量の水を消費する冷却塔による使用が挙げられる。建物内の水消費量の削減は最優先事項であるため、冷却塔へ導入可能な代替水処理技術など、水消費量を削減するコスト効率性の高い技術が審査された。

図 米国での政府建物内での水消費の内訳(単位:%)
(出典:Electrochemical Water Treatment for Cooling Towers)

今回の調査は2017年7月から10月まで実施され、その結果、Dynamic Water Technologiesの水処理技術は、化学物質を追加せずとも水消費量を32%削減するコスト効率性が高い技術であるとして選定、評価された。Dynamic Water TechnologiesのCEOを務める Mike Boyko氏は、自社技術がコスト効率性が高いと選定されたことは驚くべきことではないとした。同氏はまた、同社創設後過去4年間に亘り、効果的に水消費量を削減する自社の卓越した技術を、企業や政府機関へ導入するよう働きかけてきたことを明らかにした。Boyko氏はまた、「今回の政府報告書の評価によって、より多くの米企業が水保全できることが証明される。今回の評価結果と、連邦政府施設への弊社技術の採用を後押ししたGSAの推薦を嬉しく思う」と述べた。

エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)は今回の調査において、Dynamic Water Technologiesの電気化学プロセス水処理技術を、以下の観点にて評価し、全ての指標を達成または期待値を超える成果を収めたと結論付けた。

  • 冷却塔の稼働に必要となるブローダウン(循環水の排水)量を減らすことで、水消費量及び水処理コストを削減
  • スケール(薄膜の酸化膜)、腐食、微生物の増殖の防止に向けて、水処理に必要となる化学物質の使用量を削減
  • スケールの発生を防止するとともに既に付着したスケールの一部を除去することで、チラーの効率性を向上し、その結果熱伝導を改善
  • 腐食率を低水準に維持

[1] Electrochemical Water Treatment for Cooling Towers
https://www.gsa.gov/cdnstatic/NREL_Report_Electrochemical_Water_Treatment-Dec2018.pdf