インドNITI Aayog、包括的水管理指標第2版を発行

インド政府系シンクタンクNITI Aayog(National Institution for Transforming India)は2019年8月23日、国内の水資源管理を管轄するJal Shakti省による取り組みを補足支援するため、包括的水管理指標第2版(the second Round of Composite Water Management Index:CWMI 2.0)を発行した[1]。同報告書は、各インド州政府や連邦直轄領が取り組む水資源の管理・活用に関する成果を様々な側面から測定(数値化)、比較することで、国内における水資源の管理や活用の改善を図ることを目的としている。

インドでは科学的に水を管理する手法が、国内成長と生態系の持続可能性の双方にとって必要不可欠であるとの認識が高まりつつある。これを受けてインド政府は、積極的な水管理を行うとともに、水管理分野において重複する機能を一元化するため、水資源・河川開発・ガンジス川再生省(Ministry of Water Resources, River Development and Ganga Rejuvenation)及び飲料水衛生省(Ministry of Drinking Water and Sanitation)を2019年5月に統合、新たにJal Shakti省を創設した。Shri Narendra Modi首相による指針の下で新設されたJal Shakti省は、水保全と水セキュリティの向上を狙いとしたキャンペーン「Jal Shakti Abhiyan」を展開するなど、水問題の解決に取り組んできた。

NITI Aayogは2018年、連邦政府との協力や各州間の競争原理(協調的及び競争的連邦主義)といった考えを州政府の間で浸透させる手段として、「Composite Water Management Index(CWMI)」初版を作成、概念化した。同報告書は、包括的なライフサイクルを通じた水管理及び活用の現状を様々な側面から測るために、インド全土を対象とした共通の指標を構築することを狙いとしていた。これらの指標は広く認知されており、州政府が現在実施している具体的な行動や将来の水管理に必要となる対策などの項目が含まれている。CWMIは、州政府や連邦直轄領による水資源の効率管理に対する成果(パフォーマンス)を評価、改善する上で重要な指標である。これを踏まえて、Jal Shakti省は、地方再生省(Ministry of Rural Development)や全ての州政府や連邦直轄領とのパートナーシップを通じて、水関連データを初めて収集した。これらのデータは、州政府や関連する中央省庁が、水資源管理を向上させる最適な戦略を策定、施行する上でも有益となる。

今回発表されたCWMI2.0は、収集されたデータに基づき、水資源の効率管理や活用に関する指標に沿って、2016/2017年と2017/2018年とにおける各州政府や連邦直轄領の成果を数値化、比較している(下図)。同報告書では、2017/2018年時点で成果が最も高い州政府としてGujarat州が選定された。これに続いて、Andhra Pradesh州、Madhya Pradesh州、Goa州、Karnataka州、Tamil Nadu州がランクインされた。またインド北東部やヒマラヤ地域に位置する州政府の中では、Himachal Pradesh州が第1位に選定され、Uttarakhand州、Tripura州、Assam州がそれに続いている。また連邦直轄領では今回初めて水関連データが提出され、Puducherryが第1位となった。さらに、2016/2017年指標との比較を見た場合、州政府の中ではHaryana州が、北東部・ヒマラヤ地域の中ではUttarakhand州が、最も大きく指標が改善された。過去3年において指標に基づき評価した結果、平均80%の州政府が水資源管理に関する指標が改善された(平均+5.2ポイント増)。


図 インド各州の水資源管理スコア
(出典:CWMI 2.0)

[1] https://www.niti.gov.in/sites/default/files/2019-08/CWMI-2.0-latest.pdf