シンガポール公益事業庁、水の先端技術をSUEZと共同研究へ

シンガポール公益事業庁(PUB)は2008年6月24日、水の先端技術を共同研究する内容の覚書を、フランスの廃棄物および水ビジネス企業のSUEZ Environmentと交わした。

PUBは、浄水用の濾過膜、水リサイクル、水質分析、廃棄物の最少化と有効利用、および情報水理学に関する研究プロジェクトを、SUEZ Environmentと協力して進める。

SUEZ Environmentは、PUBと共同で技術開発を行なうとともに、PUBのニーズに合わせた水のソリューションを提供する。いっぽうPUBは、大学、技術開発研究機関、企業などの120の国際パートナー、および約400人の研究者から成るSUEZ Environmentのグローバルな研究ネットワークに参加することができる。

 

覚書の調印式は、水ビジネスの世界的行事であるシンガポール国際水週間の6つの主要イベントのひとつ、Water Expoにおいて行なわれ、PUBからは技術・水質部のHarry Seahが、SUEZ Environmentからは研究開発センター長のPhilippe Gisletteが代表として出席し、立会人として、PUBのChan Yoon Kum長官補佐(上水道担当)とSUEZ EnvironmentのDiane d’Arras技術・研究担当副社長が同席した。

 

今回の覚書調印について、SUEZ EnvironmentのCEOであるJean-Louis Chaussadeはこう語っている。「この合意により、水および環境ビジネスにおいてシナジー効果を生み価値を創造する科学技術面での協力関係を発展させ、それによって双方が互いの専門的知見を活用しあえるようになるための基盤が築かれた」

この合意でSUEZ Environmentは、アジアにおける研究体制をさらに強化したことになる。アジアは、同社が主要な環境ビジネス分野での進出拡大をめざしている地域で、2008年4月には北京の清華大学と、また2006年には上海の同済大学および華東理工大学と協力関係をむすんでいる。

今回合意した共同研究を推進するために、SUEZ Environmentはシンガポールに代表を常駐させる。また、水ビジネス企業と水関連組織のための専用施設であるWaterHubにオフィスを開設することを計画している。

 

今回の合意についてPUBのKhoo Teng Chye長官はつぎのように語っている。「SUEZ Environmentは、将来を見越した水技術の研究を積極的に進めようという考えを、シンガポールと共有している。この覚書により、われわれは、膜技術や水の再生利用といった最先端の分野で、双方の資源をプールし、総合的に活用することができる。また、これが、世界のハイドロハブとしての発展に資するとしてシンガポールの水ビジネス界の支持を得ているのは、よろこばしいことだ」

 

この覚書のほかにも、シンガポール国際水週間(2008年6月23~27日)の期間中に協力協定などがいくつか締結されている。水の年次サミットともいうべきこの催しには、世界中の政府、水道事業者、水ビジネス企業、研究機関などからおよそ5000人が参加した。

タグ「, 」の記事:

2020年3月24日
米EPA、水資源の持続可能性確保などを目的とした水再利用の国家行動計画を発表
2019年12月23日
El Paso Water、下水処理水の飲用再利用を目的とした施設の設計完了に向けて補助金を獲得
2019年12月22日
スペインの灌漑協会、世界の食糧問題には、再生水を利用した灌漑を推進すべきとの見解
2019年12月3日
欧州委員会、農業への水再利用の最低要件に関する暫定合意を歓迎
2019年11月4日
台湾内政部、国内での再生水需要増を受けて8カ所の再生水処理工場を建設――再生水供給量は2024年に27万6000トンまで増加