GE、水のリサイクルとリユースを推進するための政策案を発表

General Electric Co.(GEの水ビジネス部門として世界規模で浄水、廃水処理、およびプロセス・システムのビジネスを展開しているGE Water & Process Technologiesは2008年5月28日、水のリサイクルとリユースを推進するための方策として世界中の政策立案者が参考にすることを念頭に、一連の政策案のメニューを示すホワイト・ペーパー“Addressing Water Scarcity Through Recycling and Reuse: a Menu for Policymakers”を公表した。この文書には、水のリサイクルとリユースに関する啓蒙活動、地方の条例等の改正、水の利用者へのインセンティヴ、新たな法規制の制定などGEが提案する政策のほかに、世界各地の実例が示されている。同社はまた、自身の淡水使用量を向こう4年間で20%削減する計画を明らかにした。

この文書は冒頭の部分でこう述べている。「このホワイト・ペーパーの目的は、自治体をはじめとする行政機関が地域における水のリサイクルとリユースを促進するためのさまざまなオプションを検討する際に、参考として使っていただくことにある」

GE Water & Process Technologiesはこのホワイト・ペーパーの公表と同時に声明を発表した。そのなかで同社CEOのJeff Garwoodはこう述べている。「政策立案者は水のリサイクルとリユースを促進する方策をさがしているが、どれがベストの方策なのかについての情報はなかなか得られないのが現状だ」

このホワイト・ペーパーは北京、ブリュッセル、およびワシントンD.C.で同時に発表され、それとともに、世界中の115以上のGEの施設で水の使用量を年間20億ガロン削減する計画も発表された。GEはこの目標を、生産効率の改善と水のリユース技術の導入により達成するとしている。

 

GEは2006年には年間100億ガロンの淡水を使用している。今回発表した水使用量削減計画を、GEは「エコマジネーション」戦略の最新のステップとして位置づけている。エコマジネーションは、「顧客が環境と経済的ニーズに取り組むのを助け、GEの成長に役立つ革新的な技術を確立する」目的で2005年からはじまったGEの全社的戦略である。GEは、水のリユースやリサイクルも含めて、エネルギーその他の資源の利用を最少化することが、会社の環境への影響を減らしつつ投資家への還元を最大化するのに役立つとしている。

ホワイト・ペーパーのなかでGEは、用途にかかわらずすべての水が飲用水基準を満たさなければならないとする地方の規制が、水リサイクルの最大の障害のひとつになっていると指摘し、「水リサイクルへの第1のステップは、リサイクル水専用の水質基準を設け、再生利用水の使用に関する指針を示すことだ」と述べている。

このような最初のステップの例としてホワイト・ペーパーは、オレゴン州の新しい水質規則を挙げている。オレゴン州では、「適切に処理された下水」を散水や、高地湿地帯への注水などの非排出型の用途に使い、地下水位の上昇や河川の流量の増加に役立てることのメリットを考慮する権限が、規制当局にあたえられている。また、アリゾナ州では、汚水を含まない産業廃水を許可なしに作物栽培に利用することが認められており、スペインでは、リサイクル水をさまざまな灌漑目的に利用することができる。

 

今回のホワイト・ペーパーによる政策提言についてGEの水技術部門で対行政の渉外を担当しているJon Freedman取締役は、「多くの企業は経済的な見地から、水のリユースをいますぐにでもはじめたがっており」、インセンティヴこそが、その決断に向かわせる正しい方法だろうと述べている。Freedman取締役はさらに、水については過去20年にわたって「世界中で規制の大きなうねり」があり、それが淡水の価格上昇につながるとともに、水リサイクルへの企業の決断をうながしてきたことを考えると、インセンティヴはきわめてタイムリーな課題だという。

 

企業へのインセンティヴのひとつの例としてホワイト・ペーパーは、廃水リユース装置を購入する企業に対してニュージャージー州が適用している税優遇措置を挙げている。

GEのホワイト・ペーパー公表について、ワシントンD.C.に本部のあるNPO、Water AdvocatesのJohn Oldfield理事は、「5年前なら、こういう話が大っぴらに語られることはなかっただろう」といっている。Water Advocatesは、世界中のひとびとへの安全な水の供給と基本的な衛生設備の整備を支援するためのNPOで、Oldfield理事はパートナーシップ開発を担当している。同理事はGEを、「バランス・シートを超えたところで責任を引き受ける企業のリーダーのひとつ」と評している。

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