米国景気対策法で水インフラ・プロジェクトに60億ドルを配分――関係者は「不十分」と主張

2009年2月17日、オバマ大統領の署名により、総額7870億ドル(約77兆円)の「米国復興・再投資法」が成立した。この法律にはさまざまな景気対策が盛り込まれており、環境とエネルギー分野でも次のような項目が打ち出されている。

  • 米国環境保護庁(EPA)の州整備リボルビング基金融資プログラムを通して、下水処理関連のインフラ施設に40億ドル(約3900億円)、水道水処理関連のインフラ施設に20億ドル(約2000億円)を配分する。
  • ディーゼルエンジンによる大気汚染を改善するための助成金に3億ドル(約300億円)、エネルギー省(DOE)により管理されている元核兵器製造工場の汚染問題への取り組みに51億ドル(約5000億円)、およびEPAのスーパーファンド・サイトの汚染浄化に6億ドル(約590億円)をそれぞれ配分する。
  • エネルギー関連のインセンティブとして、歳出に計400億ドル(約4兆円)、税制優遇措置に200億ドル(約2兆円)をそれぞれ配分する。

このうち、水関連インフラ施設については、今回の資金提供により、老朽化した水道水や下水の処理システムの修理・交換プロジェクトがようやく始動する見込みとなった。しかし、水関連事業者や州の担当官は、全国で必要とされているこれらのプロジェクトを実施するには、この金額では不十分だと指摘している。全米下水道庁協会(NACWA)のS. Bruninga氏も、「我々は、今回の資金提供を最初の一歩とみなしている」と述べた。

とはいえ、今回の投入額は、EPAの州調整リボルビング基金に対する年間予算額と比べれば巨額である。たとえば、下水リボルビング基金に対して連邦議会が承認した2008会計年度予算額は6億8900万ドル(約680億円)で、ブッシュ前政権の2009会計年度予算要求額も5億5500万ドル(約550億円)だった。

それでも、NACWAによれば、下水処理関連プロジェクトに配分された40億ドルでは、現在棚上げとなっている必要なプロジェクトのすべてに資金を提供することはできないという。NACWAの会員の予測では、すぐにでも着手できる下水インフラ施設プロジェクトの総額は170億ドル(約1兆6700億円)にのぼる。EPA、政府監査院(GAO)、および水関連社会基盤整備ネットワークの予測でも、下水インフラ施設の改良や修理に必要な資金の額と実際に費やされている金額との差は、向こう20年間で3000億~5000億ドル(約29兆~49兆円)になると指摘している、とNACWAは述べている。

水道水関連プロジェクトに関しても同様で、大都市水道協議会(AMWA)によれば、EPAは今後20年間の水道水インフラ関連の投資ギャップを2768億ドル(約27兆円)と予測している。しかし、AMWAは、「(20億ドルという)今回の投資は、このギャップ問題への取り組みに向けた小さな、しかし必要な第一歩を踏み出すいっぽうで、全米各地で1万7000人分を超える建設関連の雇用を直接創出する可能性がある」とも述べている。

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