下院、州整備リボルビング基金に向け185億ドルの法案を可決

下院は2009年3月12日、EPAの水質浄化法(CWA)の州整備リボルビング基金(SRF)を大幅に増やして水質を向上させるために2010~2014年の5年間に185億ドル(約1兆8000億円)の支出を認めることになる法案を可決した。

317票対101票で可決された「2009年の水質投資法(Water Quality Investment Act of 2009)」(H.R. 1262)の主な内容は、次の通り。

  1. 水関係インフラの改善プロジェクトに資金を提供するためのSRFのために138億ドル(約1兆3800億円)。この金額は、2010年に24億ドル(約2400億円)、2011年に27億ドル(約2700億円)、2012年に28億ドル(約2800億円)、2013年に29億ドル(約2900億円)そして2014年に30億ドル(約3000億円)に分けて支出されることになっている。
  2. 合流式および分流式の下水道からの越流水を管理するための25億ドル(約2500億円)。この金額には、このような下水道から越流が起こったことを周辺の人々に知らせるための一律の国の基準を提供することも含まれる。
  3. 水のリサイクルや再利用といった代替の水資源のための助成金としての2億5000万ドル(約250億円)。
  4. 水質汚染の原因、影響、削減および防止に関する調査、実証、そして研究の資金として2010~2014年に毎年支出される約1億ドル(約100億円)。これには、規模の小さい社会や農村に財政的・技術的支援を提供するための新しいプログラムのための毎年支出される2000万ドル(約20億円)も含まれる。
  5. 2008年に成立した「五大湖遺産再授権法(Great Lakes Legacy Reauthorization Act)」のこれまで毎年540億ドルであった予算を約3倍の毎年1500億ドル(約15兆円)にする。

なお、①に関して、州政府は、原則免除やマイナス金利のローンなどの助成金の形で

SRF資金の最高で30 %までを提供する権限を持つことになる。また、SRFによって配分された資金の10億ドルを超える部分については、州政府は、恵まれない地域や水やエネルギーの利用効率の良いいわゆるグリ-ン・インフラ・プロジェクトのために25 %を取っておかなければならない。

また、H.R. 1262には原法案に次のような修正が加えられている。

  • EPAは、SRFの支出について公開の年次業績評価を実施しなければならない。
  • 米国とメキシコも国境沿いの水質関係のインフラと五大湖沿岸にある廃水関係のインフラについてのさらなる調査が認められた。
  • 州政府は、環境に配慮したインフラ整備を行なったり、水やエネルギーの利用効率を改善したりする地域のために下水道の助成金の20 %を取っておかなければならない。
  • 米国の水域中に含まれる調合薬やパーソナルケア製品に関する調査を実施しなければならない。
  • 州政府は、住民が1万人未満の自治体のために水質汚染規制出資助成金の少なくとも15 %を使わなければならない。

この法案は、上院環境・公共事業委員会に付託されるが、上院には同様な法案がないので、2008年9月にこの委員会のBarbara Boxer委員長が提出した「水関係インフラ資金供給法(Water Infrastructure Financing Act)」を出発点として用いることにしている。

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