ガボン政府は、2009年12月30日、Gabon Energy and Water Company(SEEG)に対して、首都Librevilleの水供給状況を改善するよう要求し、改善されなければVeoliaとの契約を凍結すると通告した。政府の広報官は、「わが国の水供給システムは、老朽化と輸送システムの飽和状態により、2003年から水不足に直面している。Librevilleでは全く水が供給されていない地域があり、供給されている地域でも1日に8時間は断水している。状況が改善されなければ、契約は凍結されることになるだろう」と語っている。
SEEGは、Veolia Waterが51%を出資している子会社であり、水および電力を同国の都市部に供給している。Veolia Waterは、1997年にガボン政府が行った入札に参加して、20年間のコンセッション契約を落札した。この契約によりSEEGはLibreville、Port-Gentil、Francevilleの3都市で約100万人に水と電力を供給することとなった。政府の通告を受け、SEEGは、問題解決に向けて努力することを約束しており、現在使われている貯水池からLibreville市の北部への水の輸送を試みている。この水輸送プロジェクトのテストが、2009年12月28日から1週間かけて行われる予定である。
中部アフリカに位置するガボンは、深刻な水不足に陥っている。ガボン住民のJeannine Bibilaは、絶えず断水が起こっている現状に、憤りを隠さない。Jeannineは、公共の水場で洗濯物の山を洗いながら、「ここでは、水を手に入れるためには、水を探す必要がある。まるで砂漠で暮らしているようです。2週間、長いときには1ヶ月も水が供給されないことが、しばしばあります」と話している。この水場では、噴水が稼動しているときには近所の住民が集まり、バケツやボトルに水を汲むという。また、噴水が稼動していないときには井戸を利用するものの、井戸水は洗濯には利用できても、飲み水としては利用できないという。Jeannineは、「軍隊が水をもってくるまでには時間がかかるので、私たちはとても苦しい状況です」と語っている。
2009年12月には、首都の住民が道路にバリケードを作って蛇口から水が出ないことに対する抗議活動を行う事態が起こり、政府は軍隊の技術者を派遣して水を供給し、対応することとなった。これを受け、ガボン政府は、SEEGに対して、首都の水供給状況を改善するよう通告したのである。
エネルギー・水資源省のRegis Imongault大臣は、世界水の日の前日に当たる2010年3月21日、テレビ演説にて、「Ali Bongo大統領は、2年以内に都市圏の水道状況を確実に改善するよう、政府に対して命令した。7年後には、全ての国民が飲料水にアクセスできるようにする」と語った。
20年間のコンセッション契約終了時には、SEEG はLibreville、Port-Gentilを中心に150万人に水と電力を供給する予定である。Veoliaによると、同社は、すでに同国で103万人に飲料水を、また126万人に電力を供給しており、上水道への接続数は1997年から50%増加し、また飲料水にアクセスできる人口の数は、70%増加したという。
また、SEEGは、世界水の日である2010年3月22日、9~11才の児童を対象に合理的な水の利用方法についての認識を高めるため、ガボンのNGOに教育ツールを提供している。