米国環境保護庁(EPA)は2010年2月22日、五大湖が直面しているもっとも急を要する危険な状態に対処するために、これらの湖を復旧させるのに役立つ、目標、目的、そして今後5年間に取る主な行動を示した計画を発表した。
EPAのLisa Jackson長官は2月21日、五大湖周辺州知事との会合で、EPAとほかの15の連邦機関からなるタスクフォースが作成したこの計画を明らかにした。
この計画は、オバマ大統領が五大湖の復旧は国家的優先課題だと述べて、2009年2月に4億7500万ドル(約430億円)を提案し、2009年5月に2010会計年度の予算案の一環として発表した、五大湖の生態系のもっとも深刻な問題に対処するためのプログラムとプロジェクトを対象とした「五大湖復旧イニシアチブ(Great Lakes Restoration Initiative)」を実行するためのものである。その要点は、次の通り。
もっとも深刻な生態系問題と5つの分野でその問題に対処するための取り組みが挙げられている。この5つの分野それぞれに、目標、目的、測定できる生態学的目標、そして具体的な行動が示されている。これらの分野は、次の通り。
- 有害物質と懸念されている区域の浄化
- 侵入生物種への対処
- 最優先の流域の保護と都市、郊外、および農地からの流出の削減
- 生息地と野生生物の保護を含んだ湿地帯の復旧
- 説明責任の手段、奉仕活動、戦略的パートナーシップなどの実施
重点的に取り組まれる事項は、次の通り。
- 五大湖へ注ぐ河川の流域のもっとも汚染されたサイトを復旧するために汚染された堆積物などの主な汚染源への対処
- 新しい侵入生物種の脅威に対処するために、バラスト水に関する技術の開発、早期発見監視計画、迅速対応能力などの侵入生物種対策の長期目標としての「ゼロ・トレランス(1匹も侵入を許さない)政策」
- 沿岸に近い水域の健全性を保つことと不特定発生源による汚染への対処のために、生態学的に極端に敏感な流域への対処。
- 全五大湖の生物多様性保全のための詳細計画と重要種の回復
- 五大湖を復旧するための全五大湖管理プロジェクトおよび水質目標と結果に基づいた説明責任手段の設定
なお、主にこの行動計画を確実に総合的に作成し、実施するのは、EPAが議長を務める「五大湖省庁間タスクフォース(Great Lakes Interagency Task Force)」である。