米環境保護庁、汚染を減らし、損なわれた水域を修復するための水質浄化戦略案を発表

米国環境保護庁(EPA)は2010年8月20日、水質の悪化を防ぎ、動物飼養業で発生する汚染をよりよく管理し、都市のストームウォーター(雨水など流出源を特定できない流出水を指す)許可の対象を広げ、グリーン(環境に配慮した)・インフラを促進するために、新しい規則やほかのイニシアチブに関する計画の要点を述べた水質浄化戦略案を発表した。

同庁は、現在の規制権限や規制執行プログラムをもっと戦略的な方法で適用し、自発的アプローチや市場ベースのインセンティブを用いることによって、大胆で、新しく、独創的で、かつもっと効果的な方法を使って、水質浄化法(CWA)を実施するつもりであると述べた。

草案文書Coming Together for Clean Water: EPA’s Strategy for Achieving Clean Water(水質浄化のために協力する:EPAの水質浄化達成のための戦略)は、水質浄化プログラムは、従来工場からの点源の汚染を抑制することに重点が置かれてきたが、今日水質の劣化にもっとも大きい影響を与える要因のいくつかは、農業、ストームウォーター流出、生息地、そして水文学であるという認識をある程度反映したものである。

この草案文書の要点は、次のとおり。

上記のように変化しているニーズや優先事項を満たすことを目指す。

次の5つの分野に重点的に取り組む計画が示されている。

  • 進捗状況を追跡するための基準を与えるために米国の水域を体系的に評価する。具体的には、米国全域ですべての水塊タイプの状態のより完全な状況を示すことになる5つの「水性資源調査(Aquatic Resource Survey)」の最初のセットを完成するようEPAに求めている。
  • 劣化した水域や生態系を修復するEPAの能力を強化する。
  • 健全な水域の保護にもっと重点を置く。
  • 新たな汚染を削減する。
  • 流域の弾力性を強める。

特定の規制措置としては、EPAは、高水質の水域を守るための劣化対策規則を明確にし、強化することになる連邦政府の水質基準の変更を提案する予定である。

EPAは、規制機関が国家汚染物質排出削減システム(NPDES)の許可のなかで劣化対策政策を効果的に適用できるようにすることを望んでいる。

EPAは、NPDESプログラムを強化して米国水域に入る汚染を大幅に削減するつもりである。たとえば、動物飼養業を集中動物飼養業(CAFO:concentrated animal feeding operation)と指定する規制権限を簡素化するための規則案を計画している。

グリーン・インフラをさまざまな方法でもっと広範に促進するつもりである。特に、EPAは、都市の分流式雨水下水道許可に費用効果的なグリーン・インフラ・アプローチを用い、合流式下水道の越流の長期抑制計画のなかにグリーン・インフラを含め、規則執行命令や同意判決のなかにグリーン・インフラ代替手段案を組み入れることを検討できるようにする予定である。

計画では、公共下水処理場(POTW)が汚水下水道の越流の悪影響や処理施設からの部分的に処理された廃水の排出から人々や環境を守るための要件の作成が求められている。

都市のストームウォーター許可の対象を現在未規制の領域に拡大し、汚染物質の排出が削減されることになる新規開発・再開発サイトからのストームウォーター排出のパフォーマンス基準を定めることに取り組む。

損なわれた水塊の修復が決定的に重要なので、EPAは、州政府と協力して、総合最大負荷日量を含むもっと効果的な汚染削減計画や流域ベースの不特定発生源計画を実施するつもりである。

EPAは、採掘活動の増加、掘削、老朽化したインフラ、都市化・開発の増加など、水質に対する最近の脅威や新たな脅威に対処するための解決策を求め、プログラムを実施する。さらに、EPAは、侵入生物種や栄養塩汚染にも対処する予定である。

EPAは、「我が国が直面するもっとも重要な水質浄化の課題にもっと全体論的視点からアプローチし、人的・物的資源を独創的に用いることによって、われわれは、経済や地域社会のニーズを確実に満たしながら、我が国の水域の状況をよりよく理解するために上記戦略を実施するためのさまざまな範囲の行動を起こし、これまでに得ているものを守るよう努め、壊れたものを直し、水域を汚染のないように保つ取り組みを広げ、将来を築くつもりである」と述べた。

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