米国の環境保護庁(EPA)は2010年6月29日、4種の産業部門の施設に温室効果ガスの排出量の報告を求める最終規則を発表した。
EPAはまた、すべての報告を行う施設の温室効果ガスの排出に関する一定の情報を公表するが、そのほかの情報を企業秘密情報として公表しないという規則案も発表した。
最終規則の要点は、次のとおり。
- 温室効果ガスの排出を報告を義務付けられる産業部門は、二酸化炭素等価温室効果ガスの排出量が2万5000トンを超える、(1) 産業埋立処分場、(2)産業廃水処理施設、(3) 坑内掘炭鉱および(4) マグネシウム生産施設である。
- 上記4種の産業部門の報告義務対象の施設は、2011年1月1日から温室効果ガスの排出量の測定を開始しなければならない。そして、2012年3月31日までにEPAに最初の温室効果ガスの排出量の年次報告を提出しなければならない。
- 鉱山安全保健管理局によって換気装置の年4回以上の試料採取を求められているすべての坑内掘炭鉱はEPAに温室効果ガスの排出量を報告しなければならない。
上記4種の産業部門は、EPAが2009年10月に二酸化炭素等価温室効果ガスの排出量が2万5000トンを超える温室効果ガスの排出源に適用する経済全体の温室効果ガス排出報告規則を発表したときには、除外されていた。2009年10月の規則の対象施設は、2010年1月1日から排出量の測定を始めていなければならないし、2011年3月31日までに最初の報告を提出しなければならない。
(1)、(2)および(3)の施設から排出される主な温室効果ガスは、メタンであり、二酸化炭素の20倍の温暖化効果を持ち、また(4)の施設の主な温室効果ガスは、六フッ化硫黄であって、二酸化炭素の何千倍もの地球温暖化係数を持つ。
次に、企業秘密情報に関する規則案のなかで、EPAは、秘密ではないすべてのデータを公表し、秘密と決定されたデータは公表しないと述べている。
同庁は、2011年に経済全体での報告規則の下で最初のデータが発表されるまでにこの規則案を最終規則にするつもりである。
EPAは、温室効果ガスの排出に関するデータは、大気浄化法(CAA)に基づいて、秘密ではないが、排出の計算に関係しない生産データやプロセスに特有のデータなどのデータは、公表されると、報告を行う企業の競争力にかなりの悪影響を与える可能性があるので、企業秘密と考えられ、公表の対象とはならないが、排出方程式への入力データや排出計算方法などは、公表しなければならないと考えている。
また、燃料供給業者や原料として使われる工業用温室効果ガスの供給業者については、排出係数や使用されている原料に関する情報や顧客に関する情報は、公表しないとも考えている。
EPAはこの企業秘密に関する規則案について上記のように考えているが、これに対するコメントを2010年8月30日まで受け付けている。