米EPA、下水汚泥焼却施設からの水銀排出を76%削減へ――その他の物質も規制強化

アメリカ環境保護庁(EPA)は2010年10月1日、下水汚泥焼却施設に関する新規発生源排出基準案を公表した。EPAは、提案されているこの規準が施行されると、下水汚泥焼却施設からの水銀排出量が76%削減されるほか、他の8種類の大気汚染物質――鉛、カドミウム、塩化水素、粒子状物質、一酸化炭素、ダイオキシンとフラン、窒素酸化物、および硫黄酸化物――の排出量も削減されるとしている。

この新規発生源排出基準案は、40 C.F.R. Part 60 subparts LLLLおよびMMMMを改正するもので、下水汚泥を焼却処分している各地方の下水処理担当部局に対し、複式炉床および流動床焼却炉からの大気汚染物質の排出抑制を求める内容になっており、新設または改修された施設には厳しい規制値が、また、既存の下水汚泥焼却施設にはそれよりも緩い規制値が適用される。

EPAによれば、下水汚泥焼却施設はアメリカで6番目に大きい水銀排出源である。この規準が施行されると、水銀を含む上記9種類の汚染物質の排出量が年間6330トン削減されるとEPAは予測している。

提案されている排出上限値:

この新規発生源排出基準案が新設および既存の下水汚泥焼却施設について定めている排出上限値は以下のとおりである。

既存の複式炉床焼却炉の場合:
カドミウム:0.095ミリグラム/乾燥標準立方メートル(mg/dscm)、水銀:0.02 mg/dscm、鉛:0.30 mg/dscm、粒子状物質:80 mg/dscm、一酸化炭素:乾燥体積100万あたり3900(3900 ppmvd)、塩化水素:1.0 ppmvd、窒素酸化物:2010 ppmvd、硫黄酸化物:26 ppmvd、ダイオキシンとフラン:毒性等量として0.32ナノグラム/dscm(ng/dscm)または全質量として5.0 ng/dscm、不透明度:10%

既存の流動床焼却炉の場合:
カドミウム:0.0019 mg/dscm、水銀:0.0033 mg/dscm、鉛:0.0098 mg/dscm、粒子状物質:12 mg/dscm、一酸化炭素:56 ppmvd、塩化水素:0.49 ppmvd、窒素酸化物:63 ppmvd、硫黄酸化物:22 ppmvd、ダイオキシンとフラン:毒性等量として0.056 ng/dscmまたは全質量として0.61 ng/dscm、不透明度:0%

新規の複式炉床および流動床焼却炉の場合:
カドミウム:0.00051 mg/dscm、水銀:0.0010 mg/dscm、鉛:0.00053 mg/dscm、粒子状物質:4.1 mg/dscm、一酸化炭素:7.4 ppmvd、塩化水素:0.12 ppmvd、窒素酸化物:26 ppmvd、硫黄酸化物:2.6 ppmvd、ダイオキシンとフラン:毒性等量として0.0022 ng/dscmまたは全質量として0.024 ng/dscm、不透明度:0%

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